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「とにかく、あの怪獣を放って置く訳には行きません。セラフ! あれをやりましょう」
「あぁ。……久しぶりに、燃えてきた」
何だ、何をする気だ。
俺は、じっと二匹の行動を見守ることにした。
セラフとアモンが、一定の距離を置いて、横に並んだ。体の向いている方向は、二匹とも同じだ。怪獣の方を向いている。
俺は怪獣に背を向けて、二人を正面から見ていると。突然、向かって右に立つアモンが、両手を自身の左側に、真横に伸ばした。そして、セラフも同じ行動をとる。ただし、左右対称になるように、、セラフを両手を自身の右側に伸ばす。
「フュー……」
「フュー……」
二匹同時に、謎の奇声を上げ始めた。それと同時に、足をチョコチョコ動かして、蟹のように横歩きでお互いが距離をつめる。
その際、横に伸ばしていた両手を、アモンは左から右に、頭の上で円を描くようにして動かしていた。セラフも同じように手を動かす。左右対称になるように、同じタイミングで。
「ジョン!」
「ジョン!」
そう叫ぶと同時に、胸の前を切るように、両手を素早く左に動かすアモン。それと同時に、左足を高く上げ、右足方向にねじりながら、片足立ちになる。もちろん、セラフも同じ行動を、左右対称にこなす。
「はっ!」
「はっ!」
気合の一声とともに、二匹とも体を大きく曲げて、上げていた足は地面を踏みしめピンと伸ばし、お互いの手と手をを取り合った。その瞬間……。
目の前で、信じられないことが起こった。
セラフとアモンの体がまばゆい光に包まれ、眩しさのあまり、右手を顔の前にかざす。
数秒たって、光が収まり、俺は目を開けた。そこには、セラフもアモンもおらず、一匹のチャオが仁王立ちしていた。
頭部、胴体部分は真っ白。手と、足の先が青く色づき、澄んだグリーンの瞳。頭上には、光り輝く球体が浮かんでいる。
「お、お前は……何者だ」
「……」
白いチャオは答えない。だが、俺にはなんとなくわかる。
セラフとアモンが消え、このチャオが出てきた。きっとこいつは、噂に聞く第三のカオス……。
「お前は、もしやライト」
「よっしゃあぁーっ!」
叫んだのは俺じゃない。目の前のチャオだ。
「私はライトカオス! 唯一無二にして天下無敵の存在! 分かる、分かるぞ! あの黒い化け物を倒せばいいんだろう! お安い御よーっ! 目玉かっぽじって、私の最強ぶりをとくとご覧あれ!とぁっ!」