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 門をくぐると、床一面に畳が敷かれ、壁や天井などは木製でできている広い空間があり、奥の方に、二匹のチャオが座っていた。
 向かって左側のチャオは、頭部や胴体部分が白色で、手先足先が、淡いピンクに染まっている。そして人間で言うロンゲのように、頭部の両サイドが、下にだらんと垂れた形状をしている。
 そして、全てのチャオの頭上に浮いているはずのポヨが、そのチャオの頭上には浮いていなかった。その代わりかどうかはわからないが、そのチャオの頭上には、輝く輪が浮いていた。
 向かって右側のチャオは、頭部や胴体部分が黒色で、手先足先が、燃えるような赤に染まっていた。そして、左側のチャオとは対照的に、頭部の両サイドが、上に跳ね上がっていた。
 そして、左側のチャオと同じように、頭上にポヨの姿はなく、代わりに青い火の玉が怪しく煌いていた。例えるなら、白いチャオは天使のような、黒いチャオは悪魔のような姿形をしたいた。
 両方のチャオに言えることだが、普通のチャオと、何かが違う。特に、じっと見ていると吸い込まれそうになる、その瞳。目に見えるものだけではなく、心の奥底まで見透かされそうなその瞳は、今まで出会ったどのチャオも持ってはいなかった。
「ようこそ、カオス道場へ」
 言葉を発したのは、左側のチャオ――白いチャオの方だ。
「やはり来たな。予感がしたのだ」
 白いチャオは、すくっと立ち上がる。
「私の名前はセラフ。隣にいるのがアモンだ。世露死苦」
「はぁ。どうも、よろしく」
 やっぱり暴走族なのかな。思ったが、声に出して訊くことはしないリュウであった。
 アモンは、座ったまま一言も口を利かず、セラフと名乗ったチャオは、さらに続ける。
「君がここを訪れた理由はわかっている。君が求めているものも。君は、強い者を求めて来たのだろう」
「……」
「喜びたまえ。君の求めるものは、目の前にある。私と、このアモンが相手をしてやろう」
「生半可な力では触れることすらままならんぞ」
「言ってくれる。――だが、私達がカオスチャオだと知っても、なお闘いを挑むか?」
 カオスチャオ。それこそ、リュウが捜し求めてきた、強き者。
 全ての力を手に入れ、地獄すら克服した者たち。闘いを挑まぬ理由がどこにある。
「俺と、勝負しろ!」
 右手に力をこめて、固い意志を込めて力の限り叫ぶ。おぉ、なんだかカッコいい展開になってきたぞ。

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掲載号
週刊チャオ第287号
ページ番号
5 / 12
この作品について
タイトル
カオスをねらえ!
作者
宏(hiro改,ヒロアキ)
初回掲載
週刊チャオ第287号