~ミッション13 赤い光の中で~

チャオサイドストーリーinSA2B ~ミッション13 赤い光の中で~

「ちょっとぉ」
「・・・・・」
「どうしたのよ。何かあったわけ?」
エミーさんは、警告音を無視して、赤い光の中で、コロンの前にしゃがみこんだ。
「なんなのよ、何か言いなさいよ。」
今度は、指で頭を小突いてみた。
しかし、コロンは、どこを見るでもなく、冷や汗を流していた。
「あの─さっきの声となんか関係が─」
純がおずおずとエミーさんの後ろから話しかけた。
「声?この警告音のこと?」
エミーさんは表情に周りを見回した。
「そうじゃなくて・・・マリアとか、なんとか。」
「そんなの、みんな、聞こえた?」
エミーさんはソニックさんたちのほうを振り向いて聞いた。
でも、みんな首を横に振っていた。
僕らだけが聞いた、錯覚かなんかなのだろうか。
「そう─マリア・ロボトニック・・・・」
僕らは振り返った。
コロンが、今度はうつむいて、小さな声で話し出した。
「あたしが─マリアを、取っちゃったの。」
「は?」
「マリアを、ジェラルドから、とっちゃったの。ほんとは、ジェラルドの娘なのに。」
ボクと純君は、口をOの字にして、ぽかんとその言葉を頭で見つめた。
でも、エッグマンだけは、顔を険しくして、その言葉を聞いていた。
「謝って、マリアをジェラルドの元に返してあげたい。でも、できない・・・・」
さらにコロンの声が小さくなった。赤い光をさえぎった先の黒い影を見つめて。
「今─ジェラルドが怒ってるの。マリア、とっちゃったから。怒って、なにか大きなもの、大切なものを、壊しちゃいそう。」
警告音と共に、赤い光が点滅した。
何かの破滅を表すかのように、目も耳も疲れるほどに。
「なにが、どうなってもいい。ジェラルドに謝って、マリアを返しにいきたい。」
半分うわごとかと思ったが、コロンが顔を上げ、ちゃんとまっすぐに、僕らを見て、ソニックさんたちに視線を移して、はっきりと、訴えかけるように見つめたとき、これはちゃんとしたコロンの意識だと分かった。
でも、内容だけはさっぱりわからなかった。
「マリアから聞いたんだけどね、コロニーに何か異常があると、コロニー中心部につづく道がね、閉じちゃうんだって。でも、ジェラルドが簡単にそこまでいけるように、壊せるようにはなってるんだって。」
「つまり─」
エッグマンが、ソニックさんとナックルズさんの間を掻き分け、進み出た。
「隔壁を壊して、コロニー中心部まで、連れて行ってほしい─ということじゃな。」
コロンは、静かにうなずいた。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第130号
ページ番号
23 / 24
この作品について
タイトル
チャオサイドストーリーinSA2B
作者
ぺっく・ぴーす
初回掲載
週刊チャオ第107号
最終掲載
週刊チャオ第130号
連載期間
約5ヵ月11日