~ミッション12 上下左右裏表~
今日は絶対に無理だと思っていたチャオサイドに加え、
もう一作、斜面の町の短編も書いてきました。
いやー、2作書いてこれるとは思っていなかったです。
チャオサイドストーリーinSA2B ~ミッション12 上下左右裏表~
「ジェラルド・ロボトニック・・・」
暗い通路で、宝石を片手に、ルージュがやってきた。
アイアンブーツの音が、消え入るように響く。
「あなたの、製作者ね。」
ダークチャオは振り返りもせず、不機嫌な声で
「あぁ。」
と、一言だけつぶやいた。
はがれた膜は、治っている。
「他に、話すこと無いの?私、いろんなことを知っておきたいから─」
ルージュが、歩み寄って、ダークチャオの顔を覗き込んだ。
「お前、幼馴染が死んだ後でも、冷静だな。」
冷徹な微笑を秘めた声で、つぶやくようにいった。
「そりゃ、どうも─デリートス。」
ルージュの体が、どんどん縮んでいく。
縮み続け、二頭身になり、羽はかわいらしく丸みを帯びて、頭の上にはまるっこい輪が浮かび上がった─それは、コロンだった。
「あなたにとっては残念ね。アロマは死んじゃいないわ。さっき会ってきたもの。」
コロンは、ニコニコした顔で、デリートスに言った。
その声の響きは優しかったが、どこか裏表がある。そんな不安を抱かせるような響きだった。
「フン。しぶといな。」
ダークチャオの声は、夫が妻に話しかける声そのものだった。
「こっちのセリフよ。そぉいえば、デリートスって呼ばれるの、慣れた?」
いたずらっぽく、シャークマウスが似合いそうな声が響く。
「私だけの秘密だから。アロマにも、エッグマンにも、絶対に言えない。」
「お前がお前だ、ってこともな。」
二人は、いたずらっぽく笑った。
でも、本当にココロを打ち解けあった様子にも見えない。
どこかで、相手に探りを入れているようだった。
「・・・お前、どっちの見方のつもりだ?」
「そっちこそ、何がしたいのか、私にもさっぱり。」
コロンは不満げな表情で言い返した。
「私のことは、ほっといて。ねっ?」
その声と共に、コロンの体は分散し、またくっついたときには、ルージュになっていた。
「それじゃ、悪いけど─またね。」
「はぁ・・・コロン、どこいっちゃったのかな?」
暗い廊下を、ボクは純といっしょに、てくてくと歩き回っていた。
コロンが、散歩に行ったっきり、帰ってこないのだ。
まぁ、こんなときに、のんびりとコロニーを散歩するのもどうかしてるが。
「まさか、人工カオスとかにやられちゃったとか。」
「まさか。逆に、人工カオスがやられちゃったんじゃない?」
純の頭の中には、どうやら小さいころからアロマをおちょくっていじめていたコロンの、
見事な一本背負いが浮かんだらしい。
もうあきらめて帰ろうかと思ったそのとき、
「アロマーーーっ!!純~~~!!!」
と、聞き覚えのある声が、後から追ってきた。
「あっ・・・コロン!!何してたのさ。」
コロンはこっちに駆け寄ってくる。
「何って─散歩だけど?」
その台詞が吐かれたとき、コロニーが、赤く光りだした。同時に、警告音も響く。
「何だっ!?」
近くの部屋のドアから、ソニックさんたちが顔を出した。
みんな僕らの近くへかけよってきて、何だ何だと、天井を見回した。
─マリア。我が最愛の愛娘、マリアよ─
どこから聞こえるでもなく、不思議かつ、なにかを望むような、だれかの声、いや、何かの声が響いた。
純は、どこから聞こえたのかと、キョロキョロ周りを見回している。
コロンは─脅えていた。
涙を出さずに、ただ、うつろな目で宙を見つめて、壁に縛り付けられたように、はりついて。
♪楽屋裏♪
コロン>あ!!それあたしの台本!!返しなさいよ!!
アロマ>・・・うわぁ、コロン、これからの台詞、すごい演技いるなぁ・・・
純>さすがチャオ女優のコンテストで予選落ちしただけは・・・
コロン>何かいったぁ~~~~!!!?
アロマ&純>いえ、何でもございません・・・
アロマ>うわーーー、なんやねん、このシーン。げ!!このカッコ書きで書いてあるこの微妙な・・・・
純>・・・ってか、そのシーン、あした撮影するところじゃない!?台本読んでなかったの!!?
コロン>あれ、当日でいいんじゃないの?
アロマ>え?前日とかに読むもんなの?
純>ふつうクライマックスシーンとかはもっと早くから読んでおいて練習しとくもんだよ・・・
アロマ>ふーーーん、そうなの・・・
コロン>なにそれ、初耳~♪
純>(だからコンテスト落ちたのか・・・・多分、アロマも受けたら書類選考で落ちるだろうな・・・)