~ミッション10 ネックウォーマーの下~

チャオサイドストーリーinSA2B ~ミッション10 ネックウォーマーの下~

レールを乗り継ぎ、高速で疾走。
ロケットにつかまって、ぶっぱなされる。
レールに乗れずに下へ落ちたかと思ったら、ショートカット。これが2回ほど。
その宇宙空間を音速で駆け抜ける間に、ソニックさんはボクに事情を話した。
「お前─この前、ビックフットで俺と戦っただろう?」
レールに飛び乗りながら、ソニックさんが話し始めた。
「うん・・・」
「そのお前が出て行った後に、黒いハリネズミ─シャドウと、会ったんだ。そのとき、あいつ、盗んできたカオスエメラルドを持って、カオスコントロールしたんだ。俺は最初、何が起きたのかわからなかった。あいつが、高速移動してるのかと思って・・・」
ボクはソニックさんが走るだけでも高速移動だと思ったが、話を続けて聞いた。
「でも、ワープしてるのが分かったんだ。そのときになって、また、逃げられた。」
「それで、GUNにつかまえられて、ボクがソニックさんを監視してて、気絶させられていた間にプリズンアイランドに侵入したんだね?大騒ぎだったから、シャトルの中でコロンに聞いたよ・・・」
「そーいうことだな・・・で、エッグマンが世界性服宣言を出した─ほら、キャノンのせいで月だって木っ端みじんだし─」
「え!?そうなの!?」
僕はそういいながらきょろきょろと月を探した。
「・・・・知らなかったのかよ・・・ホラ、あそこ。」
ソニックさんの指差す先には、半分欠けた月が浮かんでいた。まだ破片があたりに飛び散っている。
それからしばらく流れた沈黙の間、ボクはずっと、口をあんぐりとあけたまま壊れた月を見、ARKのとがった先端を見、また月に視線を戻すのを繰り返していた。
─あれで、壊したんだ・・・─
一見、何のへんてつも無い飾りに見える。
でも、あそこから、太いとも細いともつかない光線が、月を壊す。
そんな光景が、(あるかどうかいまいち分からない)まぶたの裏に広がった。
でも。
いったい、誰がつくったんだろう?あの、キャノン・・・・

そのとき、ソニックさんが急に止まった。
目の前には、オレンジと紫、二本のレール。
ソニックさんは後ろを振り向いて、僕に聞いた。
「これ・・・どっちにいけばいいと思うか?」
そんなこと、知ってるわけ無いじゃん・・・
その言葉が出てくる代わりに、思いもよらない言葉が口から飛び出す。
「どっちに行ってもちゃんと着くけど、紫のほうが遠くまでいけるよ~」

・・・・・・・?

僕らは、3秒ほど見つめあった。
何でそんなこと知ってるんだ?
お互いに、そんな思いでいっぱい。
「あ・・・・・あれ?」
ちょっと頭があわてふためく。
「お前、何でそんなこと知ってるんだよ!?」
「だって、知ってると思って、聞いたんでしょ?」
「いや・・・それは、つい聞きたくなって・・・・とにかく、何で知ってるんだ?」
ボクはしばらく考え込んだ。
結局、
「わかんない」
で終わらせておいたけど。めでたしめでたし。
「いや・・・なんでわかんないんだ?」
「知らないヨォ。ボクに聞かないでぇ。」
「いいよ、もう・・・とりあえず、紫のほう、進むからな。」
その声と共に、また、音速の世界へ、突入。
鉄と鉄が滑らかにこすりあう音が、耳の中に蘇る・・・

「・・・・ふぅ・・・えらい目にあったぜ・・・」
「ナックルズさんのパクリだ~」
宇宙空間に浮かぶ、一本の長い道。
僕のうれしそうなツッコミが、ぽつりとした音になってひびいた。
「アレをえらい目といわず、なんと言う。超高温っぽい粗大すぎるゴミに追い掛け回されたんだぞ。」
そのとき、まばゆい光が、前方から鋭く届いた─僕らは、とっさにそっちを振り向いた。
光が消えかけたとき、二つのシルエットが浮かび上がる─
一つは、ソニックさんそっくり。
もう一つは、ボクそっくり。
「お客さんだ─」
ソニックさんが、にやりとして言った。
光が消え、シルエットはどんどん色を出していく─黒に赤いラインと、黒にネックウォーマー。
シャドウと、あの、ダークチャオだった。
「やるぞ、アロマ!」
それと同時に、隣には、シャドウとダークチャオの二組がいた。
僕をつかんでいないほうのソニックさんの手に、ニセモノのカオスエメラルドが輝く─
カオスコントロールしたらしい。
シャドウの手も、おなじだ。でも、あっちは本物だった。

つづく★

このページについて
掲載号
週刊チャオ第125号
ページ番号
20 / 24
この作品について
タイトル
チャオサイドストーリーinSA2B
作者
ぺっく・ぴーす
初回掲載
週刊チャオ第107号
最終掲載
週刊チャオ第130号
連載期間
約5ヵ月11日