第1章 40、トルに取り付く神の過去

トルが持ってきた本の中には『神の日記』という本があった。

その本の裏にはパペットマスターが書かれていたからだ。

トルはもう字も読める。

自分より大きなその本を、トルは読んでいた。

本の内容

とある神が、宇宙のすみっこに1つの小さな世界を創った。
その世界は、自然に恵まれており、人々は平穏な生活を送っていた。
だが、その平和は永遠には続かなかった。
そう、何処の世界にも存在する『悪』の出現した、あの日から・・・。

○月F日
平和だった世界で今日、殺人事件が起きた。
犯人は、・・・城下町の村人。
隣人との度重なる口論の末、悲しい結果となった。
国王は、犯人を処刑・・・
私の世界で、初めて『悪』が現れた。

□月J日
あの忌まわしい事件から数ヶ月が経った。
今日、再びあの惨劇がよみがえる。
宿屋で事件は起きた。恋人を巡るトラブルが動機・・・
国王は犯人に裁きを受けさせた。
私はその様子を見つめていたが、途中おかしな『気』に気付いた。
犯人からドス黒い気がわき上がっているのを発見。
気は神である私しか見えないようだ・・・
あのドス黒い気・・・一体何だ・・・気になる。

×月R日
初めて殺人が起きた日からもう2年。
だんだんと平和が崩れていっている。
殺人はもちろん、強盗、誘拐・・・様々な『悪』が
世界に現れている・・・
これは大変なことだ・・・だが、『悪』からは皆共通して
ドス黒い気がわき出ているのが見られる。
この気が平和を崩す要因となっている可能性が考えられる。

×月S日
気になっていたドス黒い気を、処刑寸前の男から
吸い取った。
なんて恐ろしいんだ。
吸い取った瞬間、神である私が失神しそうになった。
この気は一体・・・私には創れない、特殊な気だ・・・。

△月H日
あれから10年・・・
すっかり私の創った世界は平和を取り戻した。
今では窃盗の1つも起こることはない。
実に良い気分だ・・・・・・
だが、ドス黒い気は、まだ世界の人々から
わき出ていることがたまにある。
そこで私は、こっそりキャラクターからドス黒い気を
吸収することにした。
神である私なら、こんな気を吸い取っても平気だ。

☆月G日
今日も大量の気を吸収・・・
おかげでこの数十年・・・『悪』は一度も現れなかった。
気を吸い取り続けてきて気が付いたが・・・
この気は、人が何か怒り、憎しみを感じた時に急にあふれるようにして体内からわき出るらしい。
そして、この気はとても恐ろしい。
吸い取る瞬間に、キャラクターが抱いている
『殺意』・・・『憎しみ』が感じられる。
私がこうして『殺意』を吸い取っていれば、
キャラクターが『悪』に変わることはない。
何処の世界、どんな時にでも『悪』は必ず姿を現すと聞くが、
そんなものは、こうして気を吸い取れば防げる。
私はこれからも平和な世界を創っていくのだ。

世界は、『悪』が現れず・・・日々栄え、住人はどんどん増えていった。
神は今日も大量のドス黒い気を吸い取り、天へと帰る。
そしていつもの日記を付け始めた・・・。

神「だが・・・全て、この私が吸収してやる・・・お前達の憎悪は私が受け止めてやる・・・」
神はそれから何年も、毎日・・・欠かさず人々の憎悪を吸い取り、
『悪』の芽を絶っていった。
だが、とある時、神は・・・自分の異変に気付く。

◇月Q日
おかしい・・・・鏡に映る私を見て気付いた・・・
私の真っ白な体が・・・薄い水色と、薄い桃色の2色に別れている!
さらには腕の爪を若干伸びている・・・
何故だ・・・?

▲月K日
最近・・・むしょうにイライラする・・・何故だろう・・
自分の体の水色と桃色が日々色濃くなっている気がする・・・
爪にまで色が浸透している・・・どうなっている・・・

△月M日




蒼いのは・・・憎しみ


紅いのは・・・怒り



間違いない・・・これがドス黒い気の正体だ・・・・


憎悪は憎しみと怒りで形成されているらしい・・・


人が怒ると、その体内の周りに紅いオーラ(気)が出る。

最もそのオーラは人には見えないが。



蒼い憎しみと紅い怒りが交わると濃い紫・・・憎悪が創られる・・・





根から恨み強く思う憎しみ・・・

人を狂わせる怒り・・・



なるほど、この2が加わった憎悪を吸い取り続ければ

私の体も色が付いてくる・・・・ということか・・・・

○月I日
い  ろがこくなっ て来た
体が
   完全 に 蒼と糸工に 別れてぃる。
ツ×が 伸び て           かき にく い
           いて、字が
だが、私の せか いは平和 だ
私  は  それだけ  でまんぞくた”

続く

このページについて
掲載号
週刊チャオ第280号
ページ番号
43 / 57
この作品について
タイトル
CHAO 戦闘記
作者
カオスソーサラ(メガライア)
初回掲載
週刊チャオ第271号
最終掲載
週刊チャオ第287号
連載期間
約3ヵ月23日