第1章 19、ボスとチャロ2
チャロ&ロン 「まだまだ腕をあげたいのです。結婚などよりも武術や知識を多く得たい。だから、修行に出たいのです」
この2人の言葉に王はさらに焦った。
其処に王妃、オイノネがやってきた。
オイノネ 「2人とも、まだ6歳なのですよ。修行などで命を落としてしまったら意味がありません。どうかこの城に止まり、平凡な日を送ってください」
この言葉に2人は少し焦った。
チャロ 「母上、止まってもいいです。しかし、その前に求婚者を大広間に集めてください。そこで王子達と戦い、僕が負けたなら結婚し、この城に止まる。
僕が勝ったら、修行に出る。ロンと共に」
オイノネは戸惑っていた。
もし王子がチャロを殺してしまったら・・・。そのような考えが脳裏に次々と浮かんできたからだ。
オイノネは男兄弟の中に生まれた祐一の女の子、オイノネは兄弟の中でも、特にチャロを可愛がっていたからである。
チャロは早速、武器庫に向かっていた。
ロン 「俺はまだ考えが決まらない。暫し、時間が欲しい」
そう言うと、ロンは自分の部屋に戻って行った。
チャロの部屋―
これが本当に女の部屋なのか、という程堅苦しい。
壁には兜や剣、盾、弓矢、槍、斧・・・etcが飾られている。
チャロは剣と盾、兜を一つずつ取り、手入れをしている。
チャロ 「(デュオニュソス・・・。戦ってみたかった唯一の相手だ。それに奴は大神ゼウス様から生まれた、酒と解放の神。油断は出来ないな)さて、鎧も一応持っていくか」
棚には5つの鎧が置いてあった。手入れはどれも行き届いている。
チャロ 「聖なる大地、ガイア様から貰ったこの鎧で行くか」
チャロはその中でも最も輝いている真ん中の鎧を着用し、部屋を出た。
大広間―
そこには隣国、デュオニュソスを始め、多くの求婚者が集まっていた。
ロン 「・・・母上、チャロへの求婚者は一体何人居るのですか?」(汗
オイノネ 「求婚者は300人は居ます。チャロは確かな腕の持ち主ですが、流石にこの人数相手では・・・」
チャロ 「勝てます。母上」
いつの間にか、武装したチャロが立っていた。
この頃、チャロはまだ天照・ビーム七枝刀を手に入れていなかったため、使っていたのは普通の剣だった。
盾にはこの国の象徴の蒼の十字架が描かれていた。
兜にも同じ、蒼の十字架が描かれていた。
アガメヌノン 「これより、我が娘チャロの婿を決める!
最初に戦いたい者、名乗り出ろ!」
多くの求婚者達が名乗り出た。
チャロ 「なぁ、ロン。お前はどうするつもりだ?」
ロンは苦笑して答えた。
チャロは微かに笑い、戦場へ出て行った。
兜で視界は広いとは言えないが、そこには確かに多くの者達が居た。
執事 「1試合目、チャロ様VSアドニス殿、試合開始!!」
カーン(なぜかこの音
アドニス 「よろしくお願いします」
チャロ 「果たして勝てるかな・・・?」
チャロとアドニスは打ち合い始めた。
アドニスはなかなかの腕前である、が・・・・
チャロ 「甘い!」
剣を飛ばされ、アドニスの顔の前に剣を突きつける。
アドニスは立ち上がり、一礼すると戦場から出て行った。
チャロ 「まだまだだな、しかし、いい腕だった」
チャロの腕の違いに100人程の王子達がチャロを諦め、帰っていった。
残った者の中でも、戸惑っているものもいる。
そして、次の試合―
チャロは相手をあっという間に倒した。
次々と王子達は敗れていったが・・・
遂にディオニュソスとの戦いが始まった。
ディオニュソス 「貴方には負けられない」
チャロ 「こっちも早く修行に出たいからな、貴方がこの中では1番強いと聞いている。
神には勝てないとは決まっていない」
コーン(何
ふざけた音が鳴り響いた瞬間、剣の打ち合う音だけが戦場に響いた。
よく見ると盾は地面に落ちている。
2人が見えなくなってから1分程経ち、2人の動きがやっと止まった。
チャロ 「なかなかだな」
ディオニュソス 「ハァハァ・・・、まだまだ!」
また2人の姿が見えなくなった。
打ち合う音が、さっきより大きく、速くなっていた。
ロン 「この勝負は引き分けですね」
オイノネ 「え・・・。チャロの方が有利なのでは?」
ロン 「いえ、ディオニュソスは苦し紛れに本当の力を発するのです。見れば分かりますよ。そうですよね、父上」
アガメヌノン 「え、あ、そ、そうだ!」(焦
ロン (父上は絶対分かってないな・・。
おまけに兄上達はこの戦いを楽しんでいる・・・)
続く