第1章 8、聞こえない…

4匹は煙煙羅に乗り、米軍基地の上空まで来ていた。

シュウ 「ん?」

シュウが何かを聞き取ったようだ。

しばらくしてシュウがいった。

シュウ 「地下深くから・・・悲鳴と爆発音!
     しかもどんどん上がってくる!」

ホタルが予想を言った。

ホタル 「恐らく試しに作動させ、暴走。
     その暴走を喰い止める事が出来ず、すごい事になってるのね。
     エンちゃん、裏に降りて!」

煙煙羅 「エンちゃん言うな!」

文句を言いつつも、煙煙羅は基地の裏に降りた。

ホタルは煙煙羅を鈴に戻した。

基地の裏にもう1匹のCHAOがいた。

チャロ 「ホタル達か、アインが真の力を見せる前に抑えるぞ!」

皆 「了解!」

一同が基地に入ろうとした瞬間、

どごごごごごごごごごごおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!

爆発音が鳴り響いた。

ドアを突き破り、中に入る。

一同は驚いた。

基地の中はガレキばかりで、荒れ果てていた。

其方ではない、アインだ。

ガレキの上にアインは立っていた。

しかし、半日前のアインとは違う。

3本の角は、長くなっていた。

耳?のような部分は長く、そして少し曲がっている。

右手がビームソード、左手が最新型のバズーカ。

背中から2本のアームが出ていてその先には鋭い出刃包丁。

怪しいバズーカも2本背中に着いていた。

足先からは剣、右目はレーザーポインター。

左目は不気味に輝き、何かで満ちていた。

ポヨが蒼い炎になっている。

そして、左脇腹には、大きく「鬼」の文字。

それはまさに「最 終 兵 器」そのものだった。

ウォッチがある事に気づく。

ウォッチ 「アイン、泣いてる・・・!」

左目からは涙がこぼれていた。

アイン 「もう、元の体には戻れないんだ・・・。
     体の3分の2も武器にされちゃったんだ・・・。
     戻れっこないよぉ・・・。
     心臓の音も聞こえなくなってる・・・。
     半日前まではドクン、ドクンって鳴ってた・・・。
     この音が聞こえないなら、僕はCHAOでも何でもない・・・。
     この音が聞こえないなら、僕は死んでるんだぁ・・・。
     じゃあ、なんで生きてるの?
     僕は一体何者なの?
     幽霊、お化け・・・?
     一体何なの?」

姿は変わっても、心は・・・変わらなかった。

一同は答える事が出来なかった。

シュウ 「お前は生きてるよ!アイン!
     ちゃんと足あるじゃん!
     戻れなくたっていい、アインはアインなんだから!」

アインの目から、さらに涙がこぼれた。

チャロ (早くもミッションクリアか?)

しかし、そうは行かなかった。

ガレキの影で研究員があるスイッチを押した。

そのスイッチを押すと共に叫んだ。

アイン 「やめ・・・ろぉ!
     皆・・・、逃げて・・・・!」

アインは大声と共に、下を向いた。

アインが顔を上げた。

殺生鬼 (せっしょうき)「いい体してなぁ・・・。
             こいつ・・・。
             この殺生鬼様にぴったりだぁ・・・」

アインだがアインではない。

声も、眼も変わっていた。

そして、心まで・・・。

チャロ 「蘇ってしまったか!」

チャロがA・ビーム七枝刀を構える。

殺生鬼 「その声は・・・チャロ!」

殺生鬼は皆の視界から消えた。

気配が読めない。

チャロは防御の構えをとった。

その上に殺生鬼がソードを振り下ろした。

殺生鬼 「久しいな。チャロ・・・!
     俺を封印してくれた、礼に・・・殺してやる!!」

殺生鬼の両手が、普通の手に戻った。

戻した両手でチャロの首を掴み、絞め始めた。

チャロ 「うぅ・・・!」

首はじわじわ絞められていく。

殺生鬼 「どうした、チャロ?
     反撃しねえのかぁ?」

アインは体を完璧に乗っ取られてしまったようだ。

チャロ 「(く・・・、あの鬼には普通の姿でも敗北寸前だったが・・、
     アインの最終兵器の体で・・・。何倍にも力が上がっている!)ぐううぅぅぅ・・・!」

殺生鬼 「いい様だぜ。
     しっかし、しぶてぇなあ。普通ならさっきので死んでるんだけどなぁ☆」

殺生鬼は不気味に笑った。

続く

このページについて
掲載号
週刊チャオ第272号
ページ番号
9 / 57
この作品について
タイトル
CHAO 戦闘記
作者
カオスソーサラ(メガライア)
初回掲載
週刊チャオ第271号
最終掲載
週刊チャオ第287号
連載期間
約3ヵ月23日