~宇宙の神秘編・戦いの果てに(前編)~ ページ1

―チャオカラテ会場―

まだ意識が半分も現実世界に戻ってきていないブルーとグリーンを無理やり引きつれカラテ会場に来てみたら、そこはもう謎の生物(自称宇宙人)の独壇場だった。
無論カラテに挑むのは初のため初級からクリアしていく事になるのだだが、一番最初のチャオを打ち破った所で審判員のオモチャオがこれ以上やる必要はないと必要、早々と初級制覇を宣言した。
何故そのような判断にいたったのか。謎の生物(自称宇宙人)の戦いぶりを見れば、そう判断せざるを得ないだろう。
謎の生物(自称宇宙人)の相手は、まだ立つこともできない赤ちゃんチャオだったが、ほんの一瞬赤ちゃんチャオの目の前の空間がゆがんだと思ったら、次の瞬間には赤ちゃんチャオは畳の外にコロン、と放り出されていた。
恐らくかなり手加減してくれたのだろう。本気でやったらどこまで飛ばされるのか。初級レベルのチャオ千人を集めたとしてもコイツには勝てないだろう。こちとらまだハイハイじゃい。
そう考慮した結果、特例として最初のチャオを破った時点で初級制覇を認定された。

次の階級は中級になるが、中級になるとさすがにハイハイをしているチャオはもういない。
血気盛んな子供チャオたちが威勢良く飛び掛ってくるが、誰一人として謎の生物(自称宇宙人)に触れる事は叶わなかった。
皆、不可視バリヤーに弾き飛ばされるだけだった。

上級にもなるとトップクラスの実力を持つチャオが続々と出てくる。凄まじい力を持つ挑戦者が現れたという事で、彼らはみな戦える事を楽しみにしていた。
しかし数分後、上級を守る実力者達の自信という自信は木っ端微塵に打ち砕かれた。
実は謎の生物(自称宇宙人)は上級制覇に挑む前に、審判員のオモチャオから「もっと自分の手足を使って戦うように」と異例の注意を受け、謎の生物(自称宇宙人)は素直に従った。
しかし、それでも謎の生物(自称宇宙人)の強さは凄まじかった。
相手の動きをかわす流麗な動き、空気を切り裂くパンチとキック…。
一つ一つの動きどれもが一級品だった。上級を守る実力者達は、ことごとく秒殺されていった。

それらの戦いを全て観戦していた我らがチャオレンジャーの隊員は。

「むむぅ、やつめ。大股だけが取り柄ではなったのか!」
「アレだけの能力があるのなら力ずくで地球侵略を開始すればよいと思いますけどねぇ。まぁそれでは困るのですけど」
「あの化け物め…。ふふふ、久しぶりに俺の中で熱い血が煮えたぎるッ…!」
「…やめておいたほうが賢明だと思いますよグリーンさん?…ところで今回はピンクさんは欠席ですか?」
「当然だ。ピンク隊員には召集をかけてはおらん。今回の一連の任務中は、彼女にはゆっくり休養してもらうとしよう」
「ぜひ僕らも休養をいただきたいのですが…」
「却下だ!」
「Zzz・・・」

そして謎の生物(自称宇宙人)は、チャオカラテを始めてわずか一時間で超級制覇に挑む事になった。
超級――それはつまり、このガーデンの最強のチャオたちが終結した、最高難易度の階級である。実は僕らのグリーン隊員も上級制覇しているので、超級に挑んだ事がある。んが、超級メンバーを相手にグリーンは一勝することも叶わなかった。
この階級を制覇することはつまり、チャオカラテ免許皆伝を意味する。この階級を制覇する事により、最強の称号を手にする事ができるのだ。
無論、最強の称号を手にする道のりは長く険しい。今までの歴史の中で、免許皆伝者は唯の一人である。
その唯一のチャオが。超級メンバーの大将を務める者―漆黒の帝王、マスチャツである。
彼も幾度と無く転生を繰り返し、そしてライトカオスチャオへ進化を遂げ、見事初代免許皆伝に輝いた。現在、最強を掲げる事が許されているのは、彼だけなのである。
そんな彼が率いるのが、彼自身を含め三人のカオスチャオと二匹のノーマルチャオで構成された「超級」の面々なのである。

そのうちの三人―ライトカオス、ヒーローカオス、ダークカオス―が現在、控え室で待機している。

「久しぶりの挑戦者だな。わくわくするぜ」

そういいながら左ジャブ、右ストレート、左ローキックとコンビネーションの練習に余念が無いのが、―地獄の破壊神、チャノキである。
室内にある鏡に向かい、久方ぶりに現れた上級制覇者への期待を膨らませながらいつでも本気で戦えるよう体を作る。

「しかし、油断は禁物ですよ。詳しくはわかりませんが、会場内の雰囲気が少し異様というか…。なんだかいつもと違うような気がします」

このページについて
掲載号
週刊チャオ第114号
ページ番号
8 / 22
この作品について
タイトル
チビッコ戦隊チャオレンジャー!~宇宙の神秘編~
作者
宏(hiro改,ヒロアキ)
初回掲載
週刊チャオ第113号
最終掲載
週刊チャオ第118号
連載期間
約1ヵ月5日