~宇宙の神秘編~ ページ4
さっきから全く会話に入ってこないピンク隊員。
じーっ、とあるモノを視線の中に捕らえて離さない。その視線の先には謎の生物(自称宇宙人)が常にフレームインしているのであった。
「どうしたピンク隊員、君らしくない。君もあの宇宙人君に対する感想を聞かせてくれたまえ」
「…可愛い…」
「…なに?」
「…可愛いですわ!」
「…」
チャオレンジャー男性陣は、その一言を聞いて唖然とするだけだった。
「あぁ!なんて可愛いのでしょう!白い体におにぎり頭!大きな瞳にちっちゃい手足!どれをとっても素晴らしいですわ!」
「…」
さらに唖然とするだけだった。
なおもピンクはその身をよじり、ねじり、四肢をばたつかせて、ついでに目をハートマークにして謎の生物(自称宇宙人)に「可愛い!」だの「欲しい!」だの叫び続ける。
それはもはや、隊員たちが知るピンクとは遠くかけ離れた人物だった。
「…まぁ、人の好みなど十人いれば十通り、百人いれば百通りあるのだからとやかく言うつもりは無いが…。しかし、まさかあの生物によってピンク君の脳細胞がココまで破壊されるとは思っても見なかったぞ」
「同感…ですね。人が豹変するというのはまさにこのことなのでしょうね。ある意味貴重な体験をさせていただきましたよ」
「可愛いか…?アレ」
「Zzz・・・」
レッドもブルーもグリーンも、誰一人としてピンクに共感することはできなかった。
「…とにかくだ!そこの異星人よ!本気かどうかは知らんがこの星を征服するなど、我らチャオレンジャーが許さんからな!」
「ちゃおれんじゃー?」
「あぁそうだとも!我らはキサマのような無礼千万、不届き者が現れたとき!世界の!いやこの星を守るために結成された正義の味方なのである!地球の健康状態は我らが健やかに保ってみせる!」
むしろ貴方がいることにより汚れていくと思います。ブルーは声に出さず心に思った。
「ナルホド、コノホシニハソノヨウナ……」
謎の生物(自称宇宙人)が喋っている途中、謎の生物(自称宇宙人)の体が淡く、白く光り始めた。
そのまま光は球体となって謎の生物(自称宇宙人)を包み込み、数秒後光は収まり謎の生物(自称宇宙人)の姿が再び現れ始めた。
別に、外見に変化が現れたわけではない。メンバーは最初は何か変化があったのかわからなかったが、謎の生物(自称宇宙人)が先ほどの続きを喋りだす事で、確かに変化があったのだと認識した。
「成る程、この星にはそのような自衛機関があるのだな。調査不足だった。…しかしたった今お前達の事を調べさせてもらったが、任務の遂行上なんらかの妨げになる存在には成り得ないらしい。よってこのまま任務を続行する」
淡々と喋る謎の生物(自称宇宙人)。
「むむっ。異星人よ、普通に喋れるのなら最初から喋りたまえ」
「それは出来ない。なぜならこの星のこの国の言語プログラムをたった今完全に解析し、プログラム着床を終えた所だからだ。先ほどまではまだ未完全な解析だったため、発音も未完全なものだったはずだ。現在はこの星この国の言語を忠実に再現できているはずである」
「渋みのある素敵な声です♪」
あくまで無表情、無感情で話す謎の生物(自称宇宙人)。
ブルーとグリーンも謎の生物(自称宇宙人)にコンタクトを試みる。
「まぁ、それはそれでいいのですが…。僕達は別にこの星を守っているわけではないですよ?守っているつもりの人なら一人いますけど」
「それによぉ、さっき「お前達の事を調べさせてもらった」とか何とかいってたが、どうやってだ?まさか他にも仲間がいるんじゃねーだろーな?」
「お前達の事は我が母船に搭載されたコンピュータで調べた。調べたのは、母船に登場している我が同志たちである」
「うへぇ…。オマエみたいなのが他にも何人もいるのか……」
「素晴らしいですわ♪」
想像して、グリーンは少し気持ち悪くなった。
逆にピンクは、目をいっそう輝かせた。
「ふむ、私もひとつ質問させてもらうぞ。君はこの星を征服するつもりらしいが、何でこんな所に来たのかね?征服するならさっさと大統領官邸にでも行って大統領誘拐事件でも起こすがいい。解放と引き替えに国を要求すればもしかしたらもらえるかも知れんぞ。そうやって繰り返し国を強奪するとよい」
「成る程、それもアリかもしれんが…」
「いや、ぜんぜんアリじゃねぇだろ」
グリーンが突っ込んだ瞬間、凄い剣幕で謎の生物(自称宇宙人)に睨み付けられた。
背筋がぞっとしたグリーンに、ブルーが
「あんまり彼の期限を損なうような発言は控えたほうがいいですよ。もしかしたらこの星ぐらい一瞬で消し飛ばされてしまうかもしれませんよ?」
「…お、おぅ」
グリーンは素直にうなずいた。