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「では早速練習開始だ!まずはバッティングからだ!」

レッドはまず、グリーンにバットを持たせて岩壁を背に立たせる。

「今から私がバッティングピッチャーを努めてやる。私の投げるボールを打ち返してみるがいい!まー当たればの話だがなはーっはっはっは!」

ボールを持った右手をグリーンに突きつけ、コレでもかと言うぐらい挑発。
頭にきたグリーンは、

「あァ!?上等だコノヤロー!」

と叫びながら、ぐるんぐるんとバットを振り回す。ちなみに右打者。

「全く、野球とは野蛮なスポーツなのですわね」
「いえ、あの方達だけですよ」

ピンクの抱いた誤解を、ブルーはやんわりと訂正した。

「いくぞグリーン隊員!ぬぅりゃあ!」

無駄に奇声を発しながらワインドアップからのオーバースローで投じた一球は、山なりの軌道を描いたヘロヘロ球――かと思いきや、その場の誰もが予想しなかった、意外といい球。

「おりゃっ!」

コチラも無駄に気合を入れてバットを振ったが、ボールにはかすりもせずに空を切った。その勢いで、グリーンはその場で一回転してコケた。
グリーンをあざ笑うかのようにバットの攻撃をかいくぐったボールは、後ろの岩壁にガツンと当たって跳ね返った。
そして、それを見届けたレッドは、ホントにあざ笑った。

「はっははのはーだ!情けないなグリーン君!キミの実力はその程度かね!」

その後、起き上がったグリーンは地面をバットでガツンガツン叩きながら再び構え直す。
しかし気合むなしく、再びレッドの投じたど真ん中ストレートに無残にも空振りを喫するのであった。

「くそったれー!」

ぶるるん。

「こなくそっ!」

ぶるるん。

「なんで、」

ぶるるん。

「だァー!」

るん。

「まだまだ修行が足りないな!そろそろ交代したまえ。でないとグリーン隊員がマントルまで穴を掘ってしまうからな!」

面白いように空振りの数を重ねたグリーンは、すごすごと退散し、ブルーにバットを手渡した。
先ほどまでグリーンがいた場所に出来ている小さな穴ぼこは、彼の空振りによる産物である。

「お手柔らかにお願いしますよリーダー。それにしても意外といい球投げるんですね、ミジンコの体積程度に感心しました」

一度軽く素振りをしてから、レッドに向かって構えるブルー。ちなみに右打者。

「行くぞブルー隊員!でありゃあ!」

そろそろ声かどうかも怪しくなってきた奇声(一応)を発しながら、ブルーに対して全力投球。
ブルーはボールをよく引き付けてから、コンパクトにスイング。結果、

ぼてっ。

当たりはしたが、バットはボールの上っ面を叩いてぼてぼてのピッチャーゴロ。
レッドの元へ勢い無く転がったボールは、3バウンドしてからレッドのグラブへ収まった。

「まーったく、なってないな皆の衆!こんな状態ではやつらに勝てないぞ!しゃっきりしたまえしゃっきり!」
「…全くですわ」

痺れの残る手をぶらぶらさせていたブルーは、

「え?」

と耳を疑った。

「ブルーさん、ソレをお貸しなさい」
「え?あ、はい」

つかつかとブルーの元へ歩み寄り、バットを受け取った。ブルーはそそくさと退散。
左手一本でバットを持ち、ソレをレッドに向かって突きつける。

「一球、投げてくださる?」

突きつけたバットを、右手を添えて円を描くようにして構えた。
レッドの目に映るのは――鋭い眼光でコチラを睨みつけ、威風堂々とバットを構える、ピンク隊員だった。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第195号
ページ番号
11 / 12
この作品について
タイトル
チビッコ戦隊チャオレンジャー!~VSおねしょ戦隊オモレンジャー!編~
作者
宏(hiro改,ヒロアキ)
初回掲載
週刊チャオ第194号
最終掲載
週刊チャオ第195号
連載期間
約8日