(前編)ページ3
「そんなコトは我らオモレンジャーが断固として阻止させてもらうチャオ!」
可愛らしい叫び声が轟いたと思ったら、覆面男の前に5匹のチャオがスタタッ、っと降り立った。
その叫び声がどのくらい可愛らしかったかと言うと、えーと、うんと、具体的に言うと小桜エツ子さん。
「な、何だお前たちは!」
今まで沈黙を守っていた覆面男も、思わず声を荒げた。
突如目の前に現れた5匹のチャオは、よく見るとチャオであってチャオでなかった。
チャオの形をしているものの、その体は通常のチャオとは正反対。ぷるぷるのぽよぽよではなく、かちかちのこちこち。
機械で出来た体を持つチャオ型おねしょ機能つき自律機械――オモチャオであった。
横一列に並んだ5体のオモチャオは、左から桃色、青色、赤色、緑色、黄色の順で並んでいた。
「世界の平和を守るため!」
と、赤オモチャオ。
「みんなの笑顔を守るため!」
と、青オモチャオ。
「小さな体に無限のパワー!」
と、緑オモチャオ。
「悪は絶対許さない!」
と、桃オモチャオ。
「たまのおねしょはご愛嬌!」
と、黄オモチャオ。
「我らおねしょ戦隊、オモレンジャー!!」
5人全員で決め台詞&決めポーズ。彼らは自分達を、おねしょ戦隊オモレンジャーと名乗った。
真ん中の、赤いオモチャオが一歩前に出てきて言った。
「いたいけな子供チャオを誘拐しようなどとは愚劣の極み!我らオモレンジャーが成敗してくれるチャオ!」
「う、うるさい、どけっ」
覆面男は突進を再開した。グリーン隊員が抱えている虹色チャオに向かって。
「させないチャオ!必殺、オモチャオサイクロンアターック!」
頭上のプロペラを作動させ、ぷるるるる、と飛行、上昇するオモチャオ(赤)。
覆面男の顔の高さまで上昇するとそのまま前進、覆面男に強烈な右ストレートをおみまいした。
「うわっ!」
よろめく男に、オモチャオ(赤)はさらに追撃。
両手両足を駆使して、覆面男にラッシュ、ラッシュ、ラッシュ。小さな体を精一杯振り回して、絶え間ない連続攻撃を加える。
その間もオモチャオダイナマイトキーック、とか、オモチャオマシンガンパーンチ、とか叫んでいたが、傍目からはただジタバタしているようにしか見えない。
「今チャオ!必殺、オモチャオしょーりゅーけーん!」
一度沈み込むように下降したかと思ったら、どこかで聞いたことのあるような技名を叫びながら急上昇。
そのまま覆面男の顎にアッパーカットをクリティカルヒット。覆面男は、あえなく失神KOされた。
「成敗完了チャオ」
その後、オモレンジャーで協力して覆面男を縛り上げ、数分後やってきた警察に覆面男は連行された。
恐怖から開放された子供チャオたちはみんな安堵の表情を浮かべ、歓喜の声をあげながらオモレンジャーの元へ駆け寄っていく。
オモレンジャーの面々は、
「もう安心チャオ」
と言いながら、よってきた子供チャオたちの頭を撫でてやる。
子供チャオたちはみんな、オモレンジャーにお礼を述べていた。
ありがとう、オモレンジャー。キミたちのおかげで、また一つ平和が守られた。
だがしかし、次の戦いはすぐそこに待っている。戦えオモレンジャー!負けるなオモレンジャー!
オモレンジャーはコレからも、世界の平和のために戦い続ける……。
チビッコ戦隊チャオレンジャー第6話、完。
…
……とはいかなかった。