~続々・木枯らし編~ ページ4

「…さて」

二人を見送ったピンクは、うんざりした表情で消えた隊員の回収作業へと入った。
今日は疲れた。後はグリーンさえ救出すればゆっくり休める。
そう自分に言い聞かせグリーンの落ちた穴へ向かおうとすると。

「た、たすけてくれ~!」

どこからかまた声が聞こえた。しかし、今回は先ほど聞こえた可愛らしい声ではなく、低く渋い声だった。
他にも犠牲者がいるのでしょうか?グリーン隊員と謎の渋い声を天秤にかけた結果、皿が沈んだのは謎の声のほうだった。

「もしもし、失礼ですが先ほどから助けを求めているのは貴方様でしょうか?」

謎の声がする穴に向かってピンクが呼びかける。
そして、穴から返事が届いた。

「おぉっ!あなたは…えぇい!誰でもいい!早く助けてくれ!」
「失礼ですが、どなた様なのでしょうか?貴方はチャオですか?」
「人間だよ!そんなことはどうでもいい!早く助けてくれ!出られないんだ!」

人間?このチャオガーデンには会社の関係者以外は立ち入り出来ないはず…。
怪しいですわ。

「人間でいらっしゃる…。失礼ですが、何をなさっている方でしょうか」
「え……」
「この「チャオガーデン」には会社の関係以外が立ち入り出来ないのです。失礼ですが、貴方は一体どなた様でいらっしゃるのです?」
「……」
「そういえば最近、盗難事件が多発していまして、ガーデン中はその話題で持ちきりなのです。手がかりも少なく困っていまして」
「お、俺は違うぞ!」
「そうですわね。落とし穴にハマって御用なんてそんな間抜けな泥棒なんて滅多にいませんものね。願わくば貴方がそうでないことを祈っています。ところで貴方様は一体どこのどなたでいらっしゃる?」
「……」

落とし穴の上と下で行われている攻防は、一方的な展開になっていた。

数分後、ピンクの証言によって駆けつけた会社役員たちが現場に到着。さらに警察に通報して、泥棒を穴から引きずり出し捕縛。御用となった。
その後穴の中でぐにゃぐにゃのスライムみたいなグリーンも救出し、今度こそ一件落着。グリーンとピンクの長い長い一日が終わった。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第111号
ページ番号
10 / 11
この作品について
タイトル
チビッコ戦隊チャオレンジャー!~木枯らし編~
作者
宏(hiro改,ヒロアキ)
初回掲載
週刊チャオ第91号
最終掲載
週刊チャオ第111号
連載期間
約4ヵ月21日