~続々・木枯らし編~ ページ3

「お~い、ゆぎぢゃ~ん……」

どこからかガラガラヘビが集まってきそうなガラガラ声を発したのは、白いマスクの奥、赤く腫れ上がりしわしわくちゃくちゃのもうギブアップ寸前みたいな状態のグリーンののどだった。
ココに来るまでも、グリーンを主と慕う抗体達は健気に「グリーン様!もうお休みになってください!これ以上は危険です!」と主に向かって呼びかけ続けていた。
しかし、その主は無視し続けていた。抗体達は自分達に言語機能が備わっていない事を深く深く恨んだ。

「…グリーンさん、ご自分の声を客観的立場から聞いてみなさいな。紙袋と大差ないですわよ?」
「そこまで酷くないわい…ゴホッゴホッ!」
「でも、凄い辛そうですよ…?保健室で休んでたほうがー…」

二人から休養を勧められて、グリーンの無意味な意地が再び効果を発動する。何でこんな意地張ってんだろう。

「…大丈夫だって!俺のことはいいから!ホラ探すぞ!ゆ~ぎぢゃ~ん!どごだー!」

まるでなまはげですわ。ピンクはそう思わざるを得なかった。
あんなんじゃ帰って出て来なくなってしまいます。早急にやめさせなければ。
そう思い、目の前でわめき散らす新種のなまはげに黙るよう指示しようとすると、新種のなまはげ、もといグリーン隊員が目の前から消えた。
遠目から見ればそう見える。しかし、すぐ近くにいたピンクとレンにはやっぱりそうは見えず、グリーン隊員が落とし穴に落ちたのだとやっぱり誰よりも早く理解した。

「本日二回目の落とし穴の気分はどうですか?」

穴の上からピンクが覗き込み、そして驚いた。手っきり中でグリーンがうずくまっている物だとばかり思っていたからだ。
この穴、深っ。穴はどこまでも地中を進んでいき、中は漆黒の闇になっていた。グリーン隊員が見えない。

「…どこまで迷惑な方なのでしょうあの方は」

この落とし穴の設計者であろう人物に対し呟く。
まだこの落とし穴を掘ったのがピンクの想像する人物とは限らない。
証拠が無き限り、推測の域を出るのは不可能である。しかしピンクは、自分の考えている推測が限りなく真実に近い推測であるという絶対の自信を持っている。
そんなことを考えているピンクの横からレンがちょこんと顔を出し、グリーンがまっ逆さまに落ちていった穴を見て、驚愕の声を漏らした。

「……けて…」

その直後だった。どこからかか細い声が聞こえた。ピンクとレンがぴくっ、と同じ反応をする。辺りが静寂に包まれた。

「…たすけて~……」

今度は先ほどより大きく聞こえた。二人は声のするほうへ走っていく。
そして着いたところには、先ほど、探索隊員約一名を飲み込んだ物と同じ縦穴があった。声はココから聞こえる。

「も、もしかしてココにユキちゃんが…」
「いるかもしれませんわね…」

しかし、どうやってそれを確かめようか。この落とし穴は相当深い。隊員一名の犠牲のおかげでそれはわかっていた。
恐らく今の状態で入ったとしても、出られないだろう。誰か飛行能力の高いチャオをつれてくるか…。
…と、ピンクの目にあるものが映った。木に止まっていた鳥である。コレならいける。
ピンクはちっちっ、と鳥を呼んでみる。その鳥―紫色の羽根をした小さいコンドルだった―は警戒する事もなく、ピンクにちかづいてきた。
ピンクはそのコンドルを両手で優しく包み込む。するとまばゆい光が発生した後、ピンクの背中に紫色の美しい羽が生えてきた。ピンクは手を離し、コンドルは飛び去っていった。

「わたくしがいってまいります。あなたはここでまっていなさい」
「あ、は、はい!お願いします!」

ピンクはそうレンに言い残すと、地中深く続く穴の中に入っていった。そして数十秒後、真っ白な体が土まみれで茶色くなってしまったユキを抱きかかえて、ピンクが戻ってきた。

・・・

「うわぁ~ん、こわかったよ~う!」

地上に出たとたんユキは宮に泣きだし、レンに抱きついたまましばらくすすり泣いていた。
レンはだいじょうぶ?とか怪我は無い?などと繰り返し呟いていた。頬を染め、必死でユキを慰める様子をピンクは微笑ましく思いながら見ていた。

「…あの、助けてくれて本当にどうもありがとうございました」

ひとしきり泣いて落ち着いたユキが、ピンクに対してお礼の言葉を述べる。

「どういたしまして。何時間も穴の中にいて…辛かったですわね。あとできつくきつく言っておきます」
「へ?何のことですか?」
「いえ、こちらの事です、お気になさらずに。さぁ、もう遅いです。帰りましょう」
「はい!いこ、レン君!」
「あ、待ってよ~」

ユキが先を行き、レンがその後をついていくという形で二人はチャオガーデンへと走っていった。
ようやく事件解決。一件落着。よかったよかった。めでたしめでたし。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第111号
ページ番号
9 / 11
この作品について
タイトル
チビッコ戦隊チャオレンジャー!~木枯らし編~
作者
宏(hiro改,ヒロアキ)
初回掲載
週刊チャオ第91号
最終掲載
週刊チャオ第111号
連載期間
約4ヵ月21日