~続々・木枯らし編~ ページ1

―ヒーローガーデン―

「ゴホッ、ゴホッ!」
「…あまり体調がよろしくないようですけれど。少しお休みになったほうがよろしいんではなくて?」

ピンクは、先ほどから頻繁に咳をしているグリーン気遣いの言葉を投げかける。
それを聞いて、グリーンはマスクの奥からかれた声で反論する。

「付き合え、っていったのはお前だろうが…」
「あの時は貴方が風邪をひいていた事を失念していたのです。まったく、貴方がチャオガーデンでマスクをはずしたりしなければ、わたくしも貴方を誘う前に貴方が風邪を引いていたことを思い出し、考えを思い直すことも出来たのです」
「って、俺のせいかよ」
「冗談です。それより大丈夫なのですか?辛いのでしたら保健室で休んでいたほうがよろしいのです。…後はわたくしとこの子で探しますわ」

そういいながらピンクは自分の左隣ににいる子供のチャオ―レンーに視線を向ける。その視線を受けながらレンも、

「あ、あの…。む、無理しないでください、ね…」

なんとかそれだけ言うと、目線を下げてしまう。

「…平気だよコレぐらい。それより、さっさと見つけてあげないとな」

とは言うものの、捜索は思った以上に難航していた。
ヒーローガーデンの捜索開始から、約十分。その間に、ユキちゃんと思われるチャオが捜索隊の前に姿を現すことは無かった。
勿論ガーデンの隅々まで探した。時折掛け声もかけながら。
ヒーローガーデンはそれほど広くない。三人合わせて探し損ねた場所は無いと絶対の自信をグリーンは持っている。ココにいないということは。

「なぁ、隠れる時の範囲、みたいなのは決めなかったのか?例えば、ヒーローガーデンからは出ちゃダメ、とか」
「はい…。ヒーローガーデンからは出ない、って約束だったんですけど…」
「ですけど?」
「前にかくれんぼした時も、ユキちゃん黙ってヒーローガーデンから出てっちゃった時があるんです…」
「ふ~ん…そのときはどうやって見つけたんだ?」
「そのときは、やっぱり見つからなくて、ヒーローガーデンばっかり探してたらユキちゃんのほうから出てきたんです…」
「そっか…。じゃあ、今回も待ってればそのうち出てきたり…」

それを聞いてレンは、焦ったように手をばたつかせながら付け足す。

「で、でも!そのときはかくれんぼを始めてから十分ぐらいで出てきたんですけど、今回はいつまでたっても出てきてくれないんです…」

グリーンはレンが何故焦っているのかわからなかったが、二人の会話を横で聞いていたピンクにはわかった。
もし『今回もそのうち出てくる』という結論に達してしまうと、グリーンたちは帰ってしまう。それが心細くてグリーンたちを何とか引きとめようとしたのだろう。

「そういえば、貴方は何時ごろからかくれんぼを始めましたの?」

二人の会話を聞いていたピンクがレンに質問をする。

「えっと…十時ごろから…」

それを聞いてピンクとグリーンは驚く。ピンクは出さなかったが、グリーンは驚きを口に出した。

「えっ、てことは…。もう二時間以上探してるのか!」

グリーンは一度ヒーローガーデンの宮殿上部にある時計をみて今の時刻を確認し、そしてもう一度レンに振り向きながら言う。

「そのあいだずっとヒーローガーデンを探してたのか?」
「い、いや…。探偵さんたちに会う前にチャオガーデンと、ダークガーデンも探してみたんですけどいなくって…」
「…探偵?」
「は、はい…。違うんですか?」

グリーンが頭上にはてなマークを浮かべていると、ピンクがどこからか一枚のチラシを持ってきた。

「恐らくコレでしょう」

そのチラシには、チラシの半分以上を占める大きさのレッドの写真が載っていて、その四隅に小さく他の隊員の写真が載っていた。
そして、チラシ上部に『チビッコ探偵チャオレンジャー!難事件は我らにお任せ!どんな依頼もドカンと解決!』と見出しが書いてあり、
その下に小さな文字で依頼の際はチャオガーデンに来る事と、料金は格安である事と、今ならもれなく依頼者先着五十名様にチャオレンジャーのロゴ&マークが入った特製じょうろをゲット出来る事が書いてあった。

「…なんだこれは」

チラシを手にしたグリーンは、もっといろいろな所をつっこみたかったが、もうつっこむのも面倒なのでやめた。

「誰かさんがばら撒いたのでしょうね。誰とは言いませんが」
「…いい、あいつの事は放っておこう。それより…」

手にしていたチラシをガシャガシャと音を立てながら丸め、レンのほうを向いたまま後ろに投げた。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第111号
ページ番号
7 / 11
この作品について
タイトル
チビッコ戦隊チャオレンジャー!~木枯らし編~
作者
宏(hiro改,ヒロアキ)
初回掲載
週刊チャオ第91号
最終掲載
週刊チャオ第111号
連載期間
約4ヵ月21日