~続・木枯らし編~ ページ3
「で…でも…本当に…」
「レン君、こんなところでぐずぐずしている暇は無いぞ!キミにはちゃんとユキちゃんを見つけ、鬼役バトンをユキちゃんへ渡すという義務があるのだ!さぁ頑張れ少年!それでは我々はこの辺で失礼させてもらおう!ゆくぞ皆の衆!」
言いたい事を全て言い終えたレッドは、ひらりと振り向き、チャオガーデンの出口へと歩を進める。未だ幻想世界から脱出できないでいるイエロー隊員の首根っこを掴んで。
「まったく、いい加減に起きないかイエロー隊員!キミのような巨漢を引きずる私の身にもなってくれたまえ!」
そういいながらペシンとイエローの頬を叩く。
「Zzz・・・むにゃむにゃ・・・」
イエローが一瞬顔をしかめた。
「お、とうとう長きに渡った就寝時代に終止符を打つ時が来たのかね!?」
「Zzz・・・むにゃむにゃ・・・牛丼大盛り・・・つゆだくで・・・Zzz・・・」
レッドの期待むなしく、イエローは寝言を言うと再びだらしない顔で寝息を立て始めた。
「新時代の到来はまだまだ先のようですね」
無意味だとは思ったが、ブルーは突っ込んだ。
「全く、困ったものだ」
「それより気になる事があるのですが」
「ではずっと気にしておるがよい」
「無視させていただきます。あの少年は、どうやって僕達のことを知ったのでしょう?確かにダイヤモンドコースを破壊した迷惑集団としては有名かもしれませんが、探偵として僕達を訪ねてきたのは何故か?疑問に思うのですが」
「そんな疑問はスパッと解決だ!私が他のガーデンに我らチャオレンジャーの存在を知らせるために宣伝ビラを撒いておいたのだ!きっと少年はそれを見たのだろう!」
「また貴方は勝手な事を…」
「それよりも他の場所に仕掛けた落とし穴に獲物が掛かっておるかもしれん!今から確認へ行くぞ!」
「…僕等もですか?」
「当然だ!」
その後もべらべら何かを喋りながら、赤青黄色の信号カラー三人集はチャオガーデンを後にした。
取り残されたピンクと緑の桜餅カラー二人組みもその後を追おうとロビーへ続く洞窟に向けて歩を進めようとする。
そのとき、グリーンとピンクの視界に、目を両手にかざしてぽろぽろと涙をこぼすレンの姿が見えた。
「…っ…ひっく…」
グリーンもピンクも足を止めた。しばらくお互いの顔を見合わせた後、とてつもなく久しぶりに口を開く。
「…貴方も付き合ってくれますわね?」
「…何に?」
「わかっていますでしょう?」
「…しょうがねぇなぁ…」
ピンクが言って、グリーンが返した。
ピンクはレンの後姿に近づき、レンの頭に手をポン、とのせる。そして言った。
「一緒にユキちゃんを探しましょう、わたくしたちも協力しますわ」