~ぎんぎらぎんにさりげなくない編~ ページ3

――世界の遙か、遙か彼方の上空には、天界と呼ばれる世界があります。天国と呼ばれる場合や、天上世界と呼ばれる事もあります。
  天界には地上の生物や、人間はいません。いるのは天使と呼ばれる、人間に極めて近い形をした生物のみです。。
  人間と天使の相違点は、まず背中に生えている大きな羽が挙げられます。ソレによって飛行も可能なのが、天使です。
  そんな天使たちを統べる、そして天界を統べる人物。それが、神様なのです。

  今の神様はそりゃもう長い間、天界を統べると同時に地上の様子を見て、時には助けを差し伸べたりと、神としての仕事をずっと務めてきました。年齢は不明。1000歳以上だとか、そこまではいかないよとか、実はビッグバン宇宙の時からすでに存在していたとか、色々憶測は飛びますが真相は定かではありません。
  しかしあるとき、神様は突然亡くなってしまった。本当に急な事でした。
  原因は、表向きには原因不明の奇病と伝えられましたが、本当はお餅をのどに詰まらせて亡くなってしまったのだという事を知っている者は極僅かです。
  とにもかくにも、神様が突然亡くなってしまったので、天界は悲しみと混乱に包まれました。
  すぐに新しい神様を決めなければ。当初、神様をずっとサポートしてきた大臣が繰り上げ神様になるかと思われましたが、神様の手紙が出てきた事により事態は急変しました。
  もしかしたら、もともともう寿命が近かったのかも知れません。そして神様自身、ソレに気づいていたのかもしれません。出なければこんな手紙残せるはずがありません。手紙には、こう書かれていました。

  『コホン。どうも、神様です』

  手紙なのに何故か咳払いから始まりましたが、そんなことはどうでもいいのです。その手紙には、とっても重大な事が書かれていました。

  『私が亡き後、誰が私の後を受け継ぐのか。今頃熟考されている最中ではないかと思う。だが、私の意見をぜひ聞き入れてもらいたい。
   私は私の後継者に、ディロ、リブ、エンゲル、プニク、ウォーリィ、このいずれかがなることを望む』

   読み上げられた5つの名前。それらはすべて、神様の孫の名前でした。
   この手紙は大臣によって、天界の全天使の前で読み上げられました。もちろん、先に挙げられた五人の天使もその場に居合わせていました。
   いきなり後継者候補に選ばれた五人は混乱しましたが、すぐに事態を理解しました。自分が神様になれる可能性がある…。神様になればありとあらゆる特権が…。
   野心は、次に読み上げられた神様の言葉によって、完全に彼らの心に根付いてしまいました。

   『私が用意した試練を見事克服できた者が、私の後を継ぎ神として崇められる存在になれ』――

 
「こうして5人の天使が、果ては砂漠へ果ては海へ!あるときは広大な森林あるときは極寒の地へ赴き、次々と試練を克服してゆくのだ!自分が神になるのだという野心を常に持ちながら!しかし!最後の試練だけはどうしても一人の力では克服できぬ!ココで初めて五人の天使はみんなで協力し、見事最後の試練をも打ち破る事が出来るのである!そこで5人が見た神からのメッセージとは!『良くぞココまでたどり着いた。最後の試練を克服したという事は、5人で協力して克服したのだろう。お前たちはこれからも5人で力をあわせ、5人で神となるがよい』。…くぅ、泣かせるではないか!神様はもともと5人を協力させるつもりだったのだ!こうして自分達の愚かさに気が付いた5人の天使たちは、みんなで力をあわせ末永く天界を、世界を導き続けたと言う…。どうだ!この素晴らしき物語!」

はぁ、はぁ、と未だ興奮冷めやらぬ様子で息を荒げているのは、自らの頭で思い描いた物語の全てを語り終えてこの日の気温36度の諸悪の根源太陽またの名を水分枯渇機を横に並べたとしても見劣りしないぐらいの輝かしくも腹立たしい汗だらけの顔に満面の笑顔を浮かべ腰に手を当て非常に満足そうに仁王立ちしている我らがリーダーレッドであった。
そしてソレとは対照的に聞きたくも無い長々とした無駄話を聞かされたほかの隊員達の反応は、食事後爪楊枝を取りに席を立ち戻ってきたら割り箸が入っていた袋から一本の爪楊枝が出てきたのを発見してしまい両の手に爪楊枝を持ってソレを眺めている時のように寒くさびしいものであった。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第124号
ページ番号
11 / 14
この作品について
タイトル
チビッコ戦隊チャオレンジャー!~ぎんぎらぎんにさりげなく編~
作者
宏(hiro改,ヒロアキ)
初回掲載
週刊チャオ第121号
最終掲載
週刊チャオ第124号
連載期間
約22日