~ぎんぎらぎんにさりげなくない編~ ページ1

「さーて皆の衆!全員揃ったかね!?点呼ォー!イチ!」
レッドが叫ぶ。
「に」
ブルーがボソッと言う。
「…さん」
ピンクが嫌々呟く。
「よんごぉろく」
グリーンがふざける。
「Zzz・・・」
イエローが寝てる。

「よーし、6人全員いるな!ではコレから、一ヵ月後に迫った本番に向けての記念すべき第一回目の練習を行いたいと思う!」
「待ってください」
「何かねブルー君?」
「練習を行う前に、山ほど聞きたい事があるのです。そうですね、とりあえずいつの間に僕達は6人組になってしまったのかをお聞かせください」
「何を言う?先ほど点呼して確認したではないか。いちにぃさんしぃご…おォッ!?どういうことだ!一人足りん!」
「違います。足りないのではなく、数が違…」
「えぇい!練習開始3秒後にいなくなるとはいい度胸だ!ブルー君!急いで彼を連れ戻したまえ!」
「…もういいです」

そんな漫才を傍らで聞いていて、ピンクはもはや呆れを通り越して落胆し、グリーンはくっくっ、と必死で笑いをこらえ、イエローは寝てた。

「チームスポーツにおいて大事なものは何か?」と問われれば、迷わず「個人技」と答えそうな、チームワークの良さというものを微塵も感じさせないこの五人。
彼らこそ悪人から世界を守るために結成されたスーパーチャオの集団(特殊な能力は全くないが)
自称チビッコ戦隊チャオレンジャー!人呼んで台風一家である!(迷惑だから)

前回、ひょんなことから劇を演じる事になってしまったチャオレンジャー。いつも通りレッドが強引に他のメンバーを巻き込み、今日がその劇に向けての記念すべき第一回練習。らしい。
集合場所はチャオガーデン。他のチャオからは「また何かしでかすのか」と言ったような白い視線があちらこちらから飛んで来るが、少なくともレッドは全く気づかない。気づかないふりではなく、気づかない。

「オイ、レッド」
「何かねグリーン君?」

リーダーをリーダーと思わず、当たり前のように、というか当たり前に呼び捨てにしているグリーン隊員も、強引に巻き込まれたメンバーの一人である。

彼は昨日、ダークガーデンで気持ちよくお昼寝をしていた所をピンク隊員に奇襲され、拉致された。グリーン隊員には何の非もない。ただピンク隊員の目的の遂行のためだけに拉致されたのである。
そしてそのまま気絶してしまい、目覚めてみたら何故か顔を腫らした自分がチャオーガーデンにいるのではないか。一体どういうことだ、と周りのメンバーに問うてみたが、

「明日の朝、午前9時までにココへ来なさい。よろしくて?」

という、グリーンにとってはワケのわからない返答がピンクの口から発せられただけであった。
しかしその言葉にはただならぬ邪気がこもっており、グリーンはコレは脅しなのだと悟った。しかも、命までも関わってきそうな。
無論、自分はピンクの宇宙人ブロマイド写真獲得のためだけに巻き込まれたなんぞグリーンは知る由もなく、事態を回避するのは不可能だと判断したグリーンは、仕方なく今日この場へやってきた。

「ブルーと同じように、俺も山ほど聞きたい事があるんだ。とりあえず、俺らは何故ここに集まっているのか、その理由を聞かせろ」
「いいだろう!一度と言わず何度でも説明してやる!」

RPGで村人なんかがさ、たまに親切に『もう一回説明するかい?』なんて聞いてくるけどさ、アレたまにうざいよね。
カーソルの初期位置が『はい』だった場合、ボタン連打してると聞きたくないのに聞いちゃうよね。一度聞いた説明だから、ついついまたボタン連打して、そしたらま~た聞いちゃったりして。
ボス前とか、イベント前とかの長ったらしいセリフだったりした場合もー最悪。『今度こそ大丈夫』と思って、セリフ終了間際までボタン連打するんだけど連打しすぎちゃって本日四回目の説明。もうやだ。

そしてこの無駄話が、本編において何か重要な鍵を握っていたり伏線を張っているのかと問われれば、ゴメン全く関係ないわけで。本編どうぞ。

「今回集まってもらったのは他でもない!ブルー、ピンク両隊員にはもう話したのだが、今回我らは劇を演じる事になったのだ!本番は残り一ヶ月を切った、我がチャオガーデン恒例のお遊戯会当日である!わかったか!」
「話が全く見えん。もっと詳しく話せ」
「断る!面倒だ!ブルー君、彼にも理解できるよう可能な限り簡潔かつ詳細に事情を説明してくれたまえ」

このページについて
掲載号
週刊チャオ第124号
ページ番号
9 / 14
この作品について
タイトル
チビッコ戦隊チャオレンジャー!~ぎんぎらぎんにさりげなく編~
作者
宏(hiro改,ヒロアキ)
初回掲載
週刊チャオ第121号
最終掲載
週刊チャオ第124号
連載期間
約22日