~ぎんぎらぎんにさりげなく編~ ページ4

「さて、どこまで話したかな!確か私がカオティクス戦争で相手国首都の空爆の任務を任された時、敵機に撃墜されるも運良く脱出に成功し、危険なサバンナの真っ只中でどうやって自分の身を守り、生還したかという…」
「全く違います。昼寝をしていたら神のお告げがどーのこーの、と言う所までです」
「おぉ、もうそんなところまで話したか!そうなのだ!神が私の前に颯爽と舞い降り、そして私の心に直接話しかけ、こう言ったのだ!『そなたには使命がある。後世に、伝説を語り継ぐという使命が』。そういって神は消えた…。なんと!私には伝説を後世に語り継ぐと言う、語り部の使命があったのだ!ビックリ桃の木!その直後、私の頭に物語が流れ込んできた!その内容は頭に焼きつき全く離れん!つまり!この物語を語り継げと言う使命が私に下ったのだ!ならば!私が語り継いでやろうではないか!より多くの人々にこの伝説を知ってもらうため、この物語を原作として、我らチャオレンジャーのメンバーで劇を演じるのだ!決行日はそう!一ヵ月後に迫ったお遊戯会当日である!」

午後の穏やかなチャオガーデン。風は流れ、雲は流れ、鳥はさえずり、子供達は無邪気に遊ぶ。
そんなチャオガーデンで、読者に対して不親切極まりない長台詞をレッドが早口で喋った所で、何も変わる事はない。全く持って穏やかなチャオガーデンのままである。
しかし、その長台詞を聞かされたブルーとピンクの心中だけは、穏やかなままではいられなかった。

「リーダー。僕は医師免許は取得していませんが、貴方の病名がわかりました。幻覚症状か、夢遊病です。今すぐ病院で検査を受けることをオススメします」
「まてまてまて!何故そういう結論になるのだ!」
「それ以外考えられないからです。オマケに僕達も巻き込む気でいらっしゃるようで」
「当然だ!私が考えた脚本では、主要人物はちょうど5人!素晴らしき奇跡!コレはもう、我ら以外に誰が演じられようか!」
「そこら辺から5人集めればよいでしょう。暇をもてあましている人はたくさんいるはずです」
「草野球の頭数と一緒にするな!劇を演じるには、観客を魅了するだけの演技力、そのキャラクターのイメージに合った人選チョイスが必要なのだ!そして!演技力、イメージともにに申し分ないのは、我らチャオレンジャーのみなのである!まぁキミ達の演技力にはいささか疑問符が付くのだが、そこは長年培ってきた我らのチームワークと私一人のの飛びぬけた演技力でカバーしていくとしようではないか!」

「お・こ・と・わ・り・申し上げます」

今まで黙って戦況を見つめていたピンクだったが、このまま黙っていては自分も巻き込まれてしまうと言う流れに気づき、口を開いた。

「わたくし、レッドさんのお遊戯に付き合っている暇など全くございません。今度こそ失礼させていただきます」
「ふっふっふ、コレを見ても同じことが言えるかね?」
「…!そ、それは…」

立ち上がってチャオガーデンを後にしようとしたピンクが見たもの。
それは、上から下まで全身真っ白で、卵形の大きな目とおにぎり型の頭が特徴的の――いつぞやの未確認生物がど真ん中に映った、一枚の写真だった。(宇宙の神秘編参照)

「う~む!劇に協力してくれた者にプレゼントしようと思い持ってきたのだが、いやぁ協力者がいないのでは仕方がない!ドブ川にでも捨てておくしかないな!ちなみに他にも宇宙人が移った写真が数十枚とあったような気がしたが、残念だがすべて廃棄処分だな!持っていても邪魔なだけだしな!いやしかし、欲しいと言うものがいるのであれば話は別だが、はてさて一体どうしたものかなーっはっはっは!」

数分悩んだ末、ピンクはレッドに協力する事を決心した。参加賞として、たった今見せ付けられた写真を貰った。

「ちなみに協力者が一人増えるごとにさらにもう1枚ずつ参加賞を増やしてやってもよいぞ?なぁに案ずることはない!見事劇を演じ終えた暁には、今手にしている写真などとは比にもならない、超激ヤバマル秘写真を贈呈する事を誓おう!」

微塵も悩まずに、ピンクはブルーに強制参加命令を下した。

「貴方も協力しなさい。そうです、今まさに貴方の記憶力が活かされる絶好の機会ではありませんか。その記憶力ならば、台詞なんてすぐに覚えられるでしょう」
「まぢですか?」
「まぢです」

ピンクは、先ほどとは別の角度からシャッターを切られた写真をレッドから受け取った。

「さてこうしちゃおられません。ブルーさん、グリーンさんはどこにいますの?」
「グリーンさんはー…確かダークガーデンに居たと思いますが」

聞いた途端、猛烈な勢いでダッシュしちゃガーデンを出て行くピンク。
行く先は、99,999……パーセントの確立でダークガーデンだろう。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第121号
ページ番号
4 / 14
この作品について
タイトル
チビッコ戦隊チャオレンジャー!~ぎんぎらぎんにさりげなく編~
作者
宏(hiro改,ヒロアキ)
初回掲載
週刊チャオ第121号
最終掲載
週刊チャオ第124号
連載期間
約22日