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レッドはビックリ箱には目もくれず、崖から崖へ飛んでいった。ブルーとピンクもそれに続く。
その下では、大量のピラニアが蠢いていた。
ちょうどレッドたちの姿が見えなくなったとき。グリーンが味が完全に無くなったガムみたいな姿で地面にベシャッ、っと放り出された。

崖を渡った先には、やしの木が数本植えてある。おなじみの光景だ。
ここでは毎回やしの木を揺らして木の実を落とし、それを食べきらなければ先へ進むことは許されない。
通常は木の実を食べきったかを審査するため周りに数対のオモチャオが配置されているのだが、何故か今回に限ってオモチャオがいない。

「(そういえば、今日はまだオモチャオを一体も見かけていないですね……)」

いつもならコースの脇で仲良くラインダンスを踊っているのに、今回はそれが無い。十中八九レッドが絡んでいるのだろうというブルーの推測は、すぐに確信に変わることになる。

「皆の衆!気をつけろ!ここにも卑劣な罠が隠されているやも知れんぞ!」
「で?ここには何が仕掛けてあるん……」
「まぁ」

ふと上を見上げたブルーとピンク。そこには予想通り、木の実とは違うものがやしの木に吊るされてあった。
二人は速やかにやしの木からなるべく離れたところを探し、見つけた場所でおしくらまんじゅうを始める。

「ブルーさん、もう少しそちらのほうに移動してくださらなくて?」
「すみません、これ以上前に行くと僕が直撃を食らってしまいます」

その時、崖からなにやら緑色の物体が這い上がってきた。グリーンだった。

「おぉグリーン!生きておったか!いや奇跡だ、ミラクル、イッツァミラクルだよグリーン隊員!」

グリーンは何とか崖を上りきると早足でレッドにつかみかかり

「テメェ!何なんだあの食虫植物は!死ぬところだったぞ!」
「ややや。アレは食虫植物などではない、肉食植物だよ明智君」
「もっとダメじゃねぇか!誰が明智だ!」

グリーンはさらにレッドを押し歩く。それがレッドの作戦だとも知らずに。

「そうだグリーン隊員。ココでは上空には十分に注意したほうが身のためだぞ」
「あぁん?」

グリーンは上を見上げる。だが時すでに遅し、やしの木からは巨大な鉄球が放たれた後だった。
鉄球はレッドの目の前を落下し、その目の前にいたグリーンを押しつぶす。ぺちゃ。

「いや失敬、言うのが遅れてしまった。ココでは鉄球が落下して来るように改造を施してあると言おうとしたのだが。キミが凄まじい剣幕で私につかみかかるものだから。おぉ、なんということだ!再びグリーン隊員が犠牲になってしまった!」
「リーダーのせいでしょう」
「いや、悪いのはこのような卑劣な罠で我々を恐怖のどん底に追いやろうとする邪悪な野望を企む者そうそれは暗黒の淵より蘇りし恐怖の大魔王そのものなのだ!」
「意味がわかりません。リーダー、たった今「ココでは鉄球が落下してくるように改造を施した」と言ったじゃないですか」
「残念ながら私の脳内シュレッダーはせっかちでな。そのような記憶とっくに切り刻んでしまったよ」
「必要な記憶は切り刻まないでおいて欲しいものです。コピーでもとっておいてくれると大変助かるのですが」
「生憎私の脳内オフィスにはコピー機はない」
「コピー機導入への前向きな検討を希望します」
「断る」
「お二方、つまらない漫才はその辺にして前を向いてくれませんか?」

このページについて
掲載号
週刊チャオ第86号
ページ番号
4 / 7
この作品について
タイトル
チビッコ戦隊チャオレンジャー!~ダイヤモンドコース激闘編~
作者
宏(hiro改,ヒロアキ)
初回掲載
週刊チャオ第86号