第二章 十六話 「暗黒の龍の真実

今回は番外編みたいなものです。

「黒龍は、レクスに眠る、いや、住み着いていると言った方がいいか。
住み着いている龍は、普段は、形を持たないレクスの意志に、抑えられ
ているのだ。だが、極度に精神状態が不安定になれば、その龍は活動を
始める。」

そう語ったのは、木陰に腰を下ろして、隣にいるマリンに語りかけるチ
ャドウだ。今は、ふしぎと日が強く、日差しを二人が木の陰で防いでい
るように座っている。

「その龍はレクスの一族の末裔に住み着いているのだ。」

そう言い切ると、少しだけ、沈黙があった。何もないような沈黙だ。頭
の整理をしたマリンが、好奇心に絶えられなくなったように、目を輝か
せながら訪ねる。

「でも、そんな龍、一体いつから・・」

だがチャドウは、またも、黙り込んでしまった。そのうち、日が真上に
昇り、昼を示した。その時になって、やっとチャドウが語り出した。

「確か、レクスのうまれる、500年ほど前らしい。後知っているのは
どういう存在なのか、それだけだ。」

マリンは、早々と、質問を重ねる。

「住み着いていると言ったけれど、どういう事なんですか?それに、一
体どういう”もの”なんですか?」

チャドウも、負けるかと言わんばかりに、すぐに答える。

「奴は、500年前、レクスの先祖が倒した、闇にとらわれた、龍。そ
の後からは、レクス一族に、魂だけを潜り込ませたのだ。そして500
年の時が過ぎた。でも、未だにその魂は、レクス一族に、住み着いてい
るのだ。そしてあの龍に対抗できるのは、ただ一つ、レクス自信の正し
いと思う意志だけだ。奴は暗黒を操り、暗黒に生きるもの。そして、暗
黒の中心だ。」

もうすでに、マリンは聞きたいことが無くなった。なのに、何かまだ、
聞き足りないような気がするのだ。それでも、無理矢理作った崩れそう
な笑顔で、

「ありがとう」

こういったのだ。でも、なぜか、足りない気がしてならないのだ。



「そろそろ、お遊びも終わる頃だろう。」

もう、夕日はかたむいていた。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第150号
ページ番号
68 / 73
この作品について
タイトル
CHAO  OF  STORY
作者
ポトッチ(ぽと)
初回掲載
週刊チャオ第131号
最終掲載
週刊チャオ第152号
連載期間
約5ヵ月11日