第二章 十五話 「闘技場
「練習をおこたってきた分、お前は動きがにぶいんだよな。」
ズークは勝利を確信したような笑みを浮かべる。そして、
「レクスなら速攻で終わらせるだろうが、俺はそんなに早くないから
な。けれど、矢のスピードなら、レクスにも、・・・勝る!。」
自慢げに、こういったのであった。そしてズークは、矢を引いて、CA
OSを弓に込めた。
「な、何をする気だ」
動揺と、不安、その二つが入り交じったような声で、強く問いかける。
しかし、それには答えようとしなかった。そして、ズークはその場から
姿を消した。目にもとまらぬ速さで、クロスケの真上にジャンプしたの
だ。しかし、クロスケは、その速さに着いていけず。
「何、ど、どこへ消えた。」
すごい焦りようだ。ズークの言葉で、ただでさえ判断力が鈍っているの
に、目の前から見えなくなったのだ。それならどんな反応をしても、お
かしくはなかった。そして、ズークは
「喰らえ・・・!!速牙(ソクガ)!!」
ズークは、矢を思いっきり引いて、CAOSをまとった矢を、クロスケ
に向かって放った!だが、クロスケは、辺りを見回していて、こちらに
気づいてはいないようだ。
そして、クロスケの顔を矢がかすめ、地面に突き刺さった。
「何っ、いつのまに。」
クロスケは、矢が飛んできた方向を向いた。(真上)
そこには、もう一発撃ち込まれた、ズークの矢があった。そして、その
矢は、クロスケの右腕をかすめた。その後、ズークが元いた場所に、手
をついて着地した。
「次は、外さないからな。」
ズークは、クロスケをにらみつけた。