第二章 十二話 「闘技場」
パワンは語った。ごまかしているのは目に見えていたのだが、がんばってごまかしていた。必死にごまかしていた。がんばって、がんばって必死にごまかしていた。(くどいっ!
「トビワンの能力は、自分の気持ちや感情を直接頭に伝えたり、相手の感情を読みとることが出来るんだよ。戦闘では、あそこまで使ったのは久しぶりだけどね。ほらっ見てごらん」
パワンは、試合を行っている場所を指さした。そこには明らかに、動揺しているレイの姿があった。そしてまた、同じように語り出す。
「もう、試合を見ていてもしょうがないね。どうせトビワンは勝つだろう。本気を出したんだから。」
「でも、あの槍は、一体どうやって。どんな魔術でもないようだけど。」
ウキワンはパワンに、珍しい物を見るような目つきで、ゆっくりと訪ねる。
「あの槍のことか。あの槍は、いつも使っている槍の、本当の姿だよ。そして能力だ。本当に自分の認めた者の思いどおりになるらしいよ。トビワンが言ってたから、多分間違いないんじゃないかな。」
「おっと、そろそろ試合が終わるんじゃないか?」
そのころ、トビワンとレイは・・・
「我も、全ての力を、使わせてもらう。」
レイは、手を前に構えて、CAOSを、いや、レイの全ての力を、手の前に固める。トビワンは、炎の固まった槍を、鋭く、そして長くのばし、大きな翼で、空中に舞い上がる。
「こちらも、一撃で決めさせてもらう。トビワン自体の体力が持ちそうにないのでな。」
そして、レイはCAOSを十分固め終わると、呪文を唱え始める。トビワンは、槍を空に突き刺すように、上に突き立てる。
「これで、とどめだ!」
レイとトビワンは、同時に叫ぶ。トビワンは槍を重そうに、レイに向かせて、レイに向かって一気に降下する。レイの手に固まっているCAOSを全てはじけた。そして、トビワンに向かって、氷柱がとてもたくさん襲いかかる。そして、ふたりは、砂ぼこりに包まれた。
観客席
「トビワン大丈夫かな。」
一番心配しているのは、パワンだった。
「あれだけ長時間あの力使っていると。もしかしたら、もしかするかもしれない。」
少しだけ、冷や汗をかいている。
その間にも、砂ぼこりは少しずつ晴れてきた。そして、完全に砂ぼこりが晴れた。そこには、元に戻っていて立っているトビワンの姿、そして、切り傷だらけで立っているレイの姿があった。そしてその後・・・