第二章 八話 「闘技場」
すでに、次の試合は始まっていた。わっと言う歓声が上がる。そして、
勝利である証拠、審判の宣言。しかし、その時レクス達は、観客席では
なく、控え室にいた。
「そう言えば、試合、見に行かなくていいの?」
まずウキワンが心配そうに切り出した。
「大丈夫だよ。今回は、両方とも前回は一回戦で負けたらしいから。」
と、レクスは入り口に立っている警備員の方に向いて言う。警備員は、
そうだ、とうなずいた。
「えーっと次はっと」
パワンは、全く話を聞いていない様子で、トーナメント表を見に行っ
た。
「やっと自分の番が来たみたいだよ。」
パワンは、トビワンに向かって、にやりと笑いながら言う。
「がんばるチャオよ」
トビワンは、しっかりと言葉にした。でも、どこか、悔しそうでもあっ
た。
数分後。パワンを除いたレクス達は、観客席へと移った。だが、なかな
かパワンの対戦相手が姿を現さない。その間、時間がとても長く感じら
れた。一秒も、一分くらい長く感じられた。と、そこへ、一匹のチャオ
が現れる。どうやら、しかし、そのチャオは、対戦相手ではないらし
く、審判の耳元で何かをつぶやいた。そして・・・
「パワン選手の不戦勝を言い渡す!」
「!!」