第二章 二話 「火」
一行は、洞窟をでて、道を歩いていた。あの遺跡に向かって・・・
戦いのことは、誰も話してくれなかった。その後、数日して、ズークが
目を覚まし、出発したのだった。
道には草が、びっしりと言うほどでもないけど、やや多めに生えてい
る。先頭を歩くのはトビワン、その次にマリンとチャドウが横に並んで
いて、その後ろを行くのがウキワンと目を覚ましたズーク。最後には、
パワンとレクスだ。
マリンは、古くさい地図を広げて歩いていた。
「今から向かうのが、ここよ」
マリンが、後ろにいる、レクスとズークに、地図に指を指していった。
(指はないけど、それなりのそぶりをしたことにしておいてください)
「ここは火の精霊が居るといわれている遺跡よ。火の精霊の関係で、近
くは少し暑くなってるの。」
「でも、何かわすれているような・・・」
マリンが、顔をしかめていった。そこへ、トビワンが割り込んできた。
「見えてきたチャオ」
トビワンが目の前にある、がれきの山のような遺跡に、指を指して言っ
た。その遺跡に近づくに連れ、気温がどんどん上がっていくのが目に見
えるように分かった。そのまま歩き続け、遺跡の入り口まで来た。入り
口は、大きな丸い石で閉ざされている。まるで、ゾウのような石だ。
ついたとき、一番最初に泣き言を言ったのはパワンだった。
「暑いよー」
「俺もそう思う。少し暑すぎないか?」
つづいてズークも言った。
「パワン。この岩、どけてくれないチャオか?」
パワンはうん、とうなずいて、集力波を放とうと、身構えて、手にCA
OSを込め、思いきり腕を叩きつけた!
ゴーーーン
という鐘の鳴るような音が周りに響き渡り、パワンの手に込めたCAO
Sが、周りにはじけた。
なんと、パワンの攻撃でも、ビクともしなかったのだ。
「なんて硬さだ。ビクともしないなんて・・・」
パワンは痛そうな手を抑えている。
「すっごーい!パワンの攻撃で、ビクともしないなんて。」
ウキワンは、ものすごい感心していた。
だが、チャドウに横目でにらまれ、ものすごいテンションが下がった。
「ん?何かここに書いてあるぞ。」
最初は気づかなかったが、岩の隣りに石碑が建っていた。その石碑に
は、謎の文字が書かれていた。
「そうだ!思い出した!」
マリンがいきなり大声を上げた。その声にみんなおどろいて、一気にマ
リンに注目した。
「確か、精霊に会うには、その許可(又は強さの証)として、宝石がい
るの。それぞれの精霊の力を宿した、宝石がね」
「その宝石ってどこにあるの?」
レクスは、ポヨを?にする。
「それは・・・」
「多数の戦士達が己の力を示すための戦場・・・その中で、最も優れた
戦士が証を手にするであろう。 だって!」
ウキワンは、軽い調子で言った。
一斉に視線がウキワンの方へ移る。
「この文字・・・読めるの?」
パワンが恐る恐るウキワンに訪ねる
「こんな文字簡単よ。今まで覚えた言葉の中で、たぶん一番簡単な文字
だと思う。この文字は古代ポトポト文明の文字。」
「へぇー文字に詳しいんだ。意外だな。」
ズークは、見下すように言う
「意外って何よ。意外って。」
と、そこへレクスが止めに入る。
「こんな所で、けんかなんかしないでよ」
「力を示す戦場?・・・力を示す場所チャオかー」
トビワンはぶつぶつとつぶやいている。
ここで、意外な人物(チャオ)が口を開いた。
「闘技場だ・・・」
チャドウだった。あまりしゃべらないので、その声を聞くと、懐かしく
感じる。
「っていうことは、闘技場に出て、優勝しろってこと?」
ウキワンがつぶやく。そして、パワンも
「そうみたいだね。でも闘技場なんて一体どこに・・・」
マリンは、地図を広げた。
「ここに、この大陸ゆう一の闘技場があるよ。ちょうどこの近くだし。
行ってみる価値はあるかもしれないよ。」
地図に指を指していった。
「じゃあ、行ってみるか!」