第一章 三三話 「突然の来客」
「僕は、王に仕えるもの、とでも言っておこうかな?」
ダークチャオは軽い調子で言う
「お前も、バード達の仲間か!?」
ズークは、大きな声を出した
「それは違うよ。僕はラル様の下部(しもべ)、ラル様が、君たちが過
去に逃げたことを、そして、大樹の情報を知って、僕を過去に送ったの
さ。ラル様の昔の仲間、『ライン』様の力でね。おっと、しゃべり過ぎ
ちゃったかな?まっいっか、どうせ君たちは・・・『ここで消えるか
ら』ね」
やはり軽い調子で言う。これにズークは腹が立った
「お前みたいな奴に誰がやられるかよっ!」
そういい、ズークは矢を構える
「やめるんだ!奴の力を見ただろ!?」
レクスは必死でズークを止めた。だが、ズークにはもう、誰の言葉も聞
こえなかった。ズークはダークチャオに向かって、矢を放った。いつも
の矢の威力じゃない、とても速いのだ。
(速い!?)
レクスは、いや、レクスとダークチャオは思った
この速さにはおどろいたらしく、ダークチャオは、矢を何とかわした程
度だった。
「クズの割にはやるじゃん。でも、それじゃあ僕には当てられないよ」
少し強く言った
「これならどうだ! 疾風!!(ハヤテ)
ズークは矢を素早く放ち、矢はダークチャオに、雨のように襲いかかっ
た
「僕はかわすだけじゃないよ?リュア!!
ダークチャオの手に光りの固まりが出来た。そして、襲いかかる矢に向
かってそれを放った。すると、辺りは、とてもまぶしい光りに囲まれた
その光りが消えると、ズークの放った矢は、一本を残し、全てが落とさ
れていた。残りの一本は、ダークチャオの右手に軽く刺さっていた。
ダークチャオはその矢を抜くと、呪文を唱えようとした。
「そこが隙だ!」
レクスは、剣を体の前で横にして、走り出し、ダークチャオに斬りかか
った。だが、その剣は右手で軽々と受け止められた。
「ちょっとくらい待っててよ」
そういうとダークチャオは呪文を唱え始めた。傷を負った右手で剣を持
ちながら
「ライトボルト!
ウキワンがそう言ったかと思うと、ダークチャオに向かって雷が落ち
た。そして、レクスとダークチャオの周りを砂ぼこりに囲まれる。
砂ぼこりが晴れると、ダークチャオは二三歩後ろに下がっていた。そし
て、左手が少し、黒くなっている。どうやら雷が少し当たったらしい。
続けて、チャドウは剣を持ち、ウキワンがやりを構え、一気に襲いかか
る。チャドウはダークチャオの左足、ウキワンは右足を、軽く傷つけた
「集力波!!」
パワンは追い打ちをかけるように、さっきより素早く攻撃する。パワン
の攻撃は、ダークチャオの腹に当たった。辺りには、パワンの攻撃の反
動で、砂ぼこりが辺りに飛び散った・・・