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こどものチャオは、こんどは小川にいくことにしました。
あつくなってきたから、お花はきっとすずしいところにおひっこししたんだと思ったのです。

こどものチャオは、真っ赤なお花を探しながら岸辺をハイハイしました。
いくつかお花は咲いていましたけど、どこにもあかいお花はありませんでした。

もうちょっとすずしいところじゃないと咲いてないのかな?
ここよりすずしいところはどこかな・・・

そう思ったこどものチャオは、すずしそうなところ、小川のなか、を見てみることにしました。

こどものチャオは、岸からおそるおそる水のなかををのぞきこみました。
でも、川のながれのせいで、水のなかまではよく見えません。
思いきって、こどものチャオは水のなかに顔を入れました。

あれ?
なにも見えませんね?
あらら、思わず目をつぶってしまったみたいです。

こんどは、だいじょうぶ。
目をあけて見た水のなかはとってもきれいで、気持ちのいいところでした。
でも、どこにもお花はなさそうです。

あきらめてちがうところを探そうと思ったそのとき、こどものチャオは足をすべらせて小川のなかに落ちてしまいました。
こどものチャオは、泳いだことがありませんでした。
あわててバタバタと手足を動かしましたけど、うまくまえにすすむことができません。

このままおぼれちゃうのかな?
おぼれちゃったら、お母さんかなしむかな?

お花プレゼントしたかったな
よろこぶ顔見たかったな・・・

こどものチャオは、そう思うと、もっとちからを入れて手足を動かしました。
お母さんのよろこぶ顔を見たいと思うと、ふしぎとちからがわいてきました。

あんまりじょうずな泳ぎかたではありませんでしたが、こどものチャオはなんとか岸にたどりつくことができました。

こどものチャオは、ちょっとひと休みすると、こんどは森の奥にいくことにしました。

森の奥にいくには、いくつもののぼり坂をのぼっていかなければなりません。
まだハイハイしかできないこどものチャオには、とてもたいへんな道です。
でも、真っ赤なお花を見つけるために、こどものチャオはがんばってのぼっていきました。

そして、ついにこどものチャオは、真っ赤なお花を見つけました。
でも、そのお花は切り立ったガケのむこうで咲いていたのです。

そのガケは、こどものチャオには、とてものぼれそうにありませんでしたし、したまでおりるのもたいへんそうでした。

あのお花を持って帰ることは無理なのでしょうか?
でも、あんなきれいなあかいお花は、もう見つからないかもしれません。
こどものチャオは、なんとかあのお花を、お母さんにプレゼントしたいと思いました。

深いガケですが、よく見たらむこうまでは、あまり遠くないようです。
これなら、もしかしたら飛んでいけるかもしれないと、こどものチャオは思いました。

ガケのしたを見るとこわくなって、ちょっと迷いましたけど、こどものチャオは思いきって飛ぶことにしました。

ふわり・・・。
こどものチャオは、うまく飛ぶことができました。
でも、うえに浮かんだのは、ほんのちょっとのあいだだけでした。
すぐに、したのほうにさがっていってしまいました。

あぶない。
このままでは、ガケのしたまで落ちてしまいそうです。

こどものチャオは、落ちないようにハネをイッショウケンメイ動かしました。
ちょっとだけ、またうえにあがることができました。
そして、なんとかガケのむこうにつくことができたのです。


近くで見た真っ赤なお花はとてもきれいで、すてきなかおりがしました。
こどものチャオは、お花を見つけたうれしさと、そのお花のうつくしさで、とってもうれしくなりました。

このお花をぜんぶ持って帰ったら、お母さんはよろこんでくれるかな?

でも、そんなことをしたら、このお花畑がなくなってしまいます。
このお花畑を見ることをたのしみにしている他のチャオや動物たちもかなしむでしょう。
だから、こどものチャオは、お花を持って帰るのは1本だけにしようと思いました。

こどものチャオは、きれいな真っ赤なお花を1本手に持って、お母さんのところに帰ることにしました。

でも、お花を手に持っていると、ハイハイするのは無理でした。
このままでは、お花を持って帰ることができません。

こどものチャオは、とっても困りました。
なんとか、手を使わないでハイハイできないかと、こどものチャオはかんがえました。




つづく

このページについて
掲載号
週刊チャオ第65号
ページ番号
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この作品について
タイトル
チャオの森の母の日
作者
懐仲時計
初回掲載
週刊チャオ第65号