【中表紙】
【チャピル】「そろそろ明かしてもいいんじゃないですか?」
【ふうりん】「何をですか?」
【チャピル】「この話の主人公が、ふうりんだっていうことですよ!」
【ふうりん】「あー、いっちゃいますか」
【チャピル】「勘のいい人ならすでに気付いているでしょうし」
【ふうりん】「明かさないままラストまで引っ張ってみようかとも思っていたんですけど……たしかに、主人公が私だってことを知っているか知らないかで、話の読み方が変わっちゃいますもんね」
【チャピル】「この話は、やっぱりそういうふうに読んでこそだと思うのです」
【ふうりん】「説明しちゃいましょうか」
【チャピル】「しちゃってください」
【ふうりん】「えー、雰囲気でわかってしまったかもしれませんが、『チャオガーデン』の主人公は私です。これは、私がチャオガーデンに住んでいた頃の話なんです」
【チャピル】「ちなみに、実話ですか?」
【ふうりん】「一部脚色を加えてあります。会話の内容とかまで覚えているわけじゃありませんから、正確さよりも読みやすさや演出の方を重視して書きました」
【チャピル】「たしか週刊チャオ編集部への入社試験の課題として書いてもらったのがベースですよね」
【ふうりん】「今見るとちょっと思うところがあって、多くの部分に手を加えてしまったんですが、大筋は変わってないはずです」
【チャピル】「実はあの課題を出したのは、自分なんですよ」
【ふうりん】「そうなんですか?」
【チャピル】「どうしても編集部にニュートラルコドモチャオが来てほしくって、見てみたら、ちょうど都合良く転生を終えたばかりのふうりんが座っているじゃないですか。履歴書を見せてもらったら、チャオガーデンのパンフレットの文章を書いた、なんてありましたから、じゃあ文章が得意なんだと思って、ふうりん以外の応募者を蹴落とすためにあの試験を出したんですよ」
【ふうりん】「……それって職権乱用なんじゃないですか?」
【チャピル】「……そんなことないんじゃないですかね。たぶん」
【ふうりん】「まあ、この場で追求するのはやめておきましょうか」
【チャピル】「結果オーライなのです」
【ふうりん】「主犯格のいうセリフではないですねー」
【チャピル】「はい、すいません」
【ふうりん】「そういう経緯で出てきた文章なので、うーん、今見るとちょっと古いところもありますよね。たとえば『チャオガーデンのチャオが教育を受けるには~』のところとか。今ならチャオ向けの奨学金とかもありますから、一概にはいえませんし……」
【チャピル】「あんまり細かいこと気にしなくてもいいと思いますよ。だいたい、こういう人生——っていうか、チャオの生き方でも——その節目みたいなところって、いつも普遍的な価値観をはらんでいるような気がするんです。だからこそ、今回になって、出してみようっていったんですけど」
【ふうりん】「うーん、私としては、純粋に読み物として楽しんでもらいたいという気持ちが強いですね。だいたい、この話は、あくまで私の昔の失敗の話ですから、今、あるいはこれからの私のどうこうとは、切り離してもらいたいなあ……と」