第7話「アイアン・ブルー」
コロシアムに試合開始のゴングが鳴り響き、
ブルーは両腕を鋭い刃に変形させた。
ドルクスは一歩も動かずじっとしている。
「へっ、そっちが何もしないならこっちから行くぜ!」
ブルーはドルクスに向かって走っていき、
そのまま両腕の刃でドルクスを斬りつけようとしたその瞬間、
ブルーの体はドルクスの頭にある2本の角で持ち上げられていた。
「なっ…!?」
「これが俺の第一の技…ドルクス・ホールド。そして、第二の技…」
そう言うと、
ドルクスは体を勢いよく回転させてブルーを投げ飛ばした。
「…スピニング・スロウ」
ブルーは素早く起き上がり、
両腕を元の形に戻して反撃の態勢に入った。
ドルクスは相変わらずじっとしたまま、ブルーの攻撃を待つ。
ブルーはいきなりドルクスに右手をかざすと、こう言い放った。
「ククク…。よく見りゃそのツノ、結構いいじゃねえか。お前を標本にして飾ってやりてえぐらいだぜ…へっへへ」
「お前、試合の最中に何を言って…っく!?」
見ると、ドルクスの手足に巨大な針が突き刺さっていた。
「おおーっと!ドルクス選手の手足に巨大な針が刺さったァーッ!」
「っぐ…あ…」
ドルクスは、手足に刺さった針の痛みに必死に耐えている。
ブルーの右手の先には、四本の針が突き出ていた。
「クックック…この針には強力な毒が含まれていてな。お前の体はじきに動かなくなるのさ…クックックック」
「ぐぐっ…貴様…ッ」
「もう一発打ちこんで欲しいか?なら…いくらでもくれてやるぜ!」
ブルーは右手から針を撃ち出し、
その針がドルクスの体に容赦なく突き刺さる。
ドルクスは苦悶の表情を浮かべた。
「ぐ…ぐあ…あ…あッ」
「どうだ?苦しいだろう?今すぐこの苦しみから開放してほしいだろう?なら……すぐ楽にしてやるぜ」
そう言うとブルーは空中に飛びあがり、
人体を模したカプセルのような姿に変化した。
「おーっとブルー選手、今度は鉄の棺の姿に変身したぁーッ!」
カプセルの頭の部分には、ブルーの面影が残っている。
変身したブルーの体の前面が開くと、そこには無数の長い針が並んでいた。
そして、ブルーはその状態のまま話しだした。
「どうだ…。これが俺様の最強形態の一つ、アイアン・ブルーだ。実はまだ三つぐらい最強の形態があるんだが…お前みたいな雑魚に全部見せる必要はねえな。フハハハハハ」
そう言うと、ブルーは体の前面を大きく開け、
体に針が刺さって動けないドルクスを吸い込み始めた。
「こ、こわい…こわいよ…はりは…やめて…はりはやめてええ!」
「クックック…。俺様の中で最期を迎えるがいい!」
ドルクスは必死に抵抗するが、ブルーの吸引力の前には成すすべも無かった。
そして、ドルクスがブルーに完全に吸い込まれようとしていたその時、
ブルーの体の前面がゆっくりと閉じていった。
ドルクスの体にゆっくりと針が刺さってゆく。
「ぐああああああっ!」
あまりの痛みに悶え苦しむドルクス。
その体からは、黒い体液が流れ出ていた。
「クックック…。どうだ、痛いだろう?なに、すぐに楽になるさ…フフフフ」
「う…うう…っ…は…やく…た…すけ…て」
「助けてほしいか…。なら望み通りにしてやる」
そう言うと、ブルーの前面がさらに閉じていき、
針も徐々にドルクスの体の奥深くへと食い込んでゆく。
「ぐ…ぐが…が…げぇ………ぐぶっ」
そしてブルーの体が完全に閉じると、
ドルクスはブルーの体の中で大量の体液を放ち息絶えた。
そして、リングの上はドルクスの体液で真っ黒に染まった。
ブルーはチャオコロシアムの上空へ飛んでいき、
体の下の部分を開いて見るも無残な姿となったドルクスを排出した。
ドルクスはリングの上に落下し、グチャグチャに潰れてしまった。
そしてブルーは元の姿に戻ると、そのままリングの上に着地した。
「あ~らら…。標本できなかったか。残念…クックック」
そう言って、ブルーはグチャグチャに潰れたドルクスを踏み躙った。
「またしてもブルー選手の大勝利!東の極悪チャオの実力はすごい!すごいぞ!これは期待だッ!」
試合終了のゴングが鳴り、観客席から歓声が沸き上がる。
ブルーはリングの隅にほったらかしていたセンベイを引きずりながら、待合室へと戻ったのであった。