第5話「三鬼融合を破れ!」
炎鬼・氷鬼・雷鬼の三人が融合したドラゴンは、ブルーめがけて口から炎の息を吐き出した。
ブルーは素早くそれを避け、両腕を光線銃に変えて反撃の準備をした。
「ふん、どうあがこうと三鬼融合した我ら鬼神三人衆に勝つ事はできん!」
「それはどうかな?」
そう言うと、
ブルーは腕の光線銃から黒い雷のような光線を放った。
光線はドラゴンに命中し、ドラゴンは身動きが取れない状態となった。
「くっ…」
ドラゴンはしばらくその場にうずくまる。
ブルーは右手をガトリング砲に、左腕を盾に変形させ、
そのガトリング砲で一斉射撃を開始した。
「ヒャハハハハ!ハチの巣にしてやるぜ!」
ブルーの一斉射撃を受けたドラゴンは光に包まれ、
炎鬼・氷鬼・雷鬼の三人に戻ってしまった。
「あーっと!鬼神三人衆の必殺技・三鬼融合が破られてしまったーッ!」
「あ、兄貴、ヤバイっスよ…」
動揺する氷鬼。
「まさか、三鬼融合が破られるとはな…」
「ウガー…」
かつて無敵と呼ばれた三鬼融合が破られ、
鬼神三人衆は驚きを隠せないようだ。
そんな鬼神三人衆に向け、
ブルーは右腕のガトリングを突き付ける。
「……さて、どいつから料理してやろうか?」
「ウ、ウガァァ!」
思わず声をあげてしまった雷鬼を、
ブルーはじっと見つめながらこう言った。
「まずはお前からだ…。行くぞ!」
ブルーは雷鬼に向けガトリングを撃ち出す。
ガトリングの銃口からは、なんとナイフが撃ち出されていた。
「ウガー!ウガー!!」
「いいねぇ…。獲物はそのぐらい元気でないとな…クククク」
泣きながら逃げ回る雷鬼を追いかけながらガトリングを撃ちまくるブルー。
炎鬼と氷鬼は何も出来ず、ただブルーの攻撃に備え構えているだけだった。
「ウガァ…ッ!?」
ブルーから逃げ回り疲れ果てた雷鬼は、背中に強い刺されるような痛みを感じた。
雷鬼の背中には、ブルーのガトリングから撃ち出されたナイフが刺さっていたのだ。
「ググ…ウガアア…ウゲ…ゲエエエ…」
激しい痛みに苦しむ雷鬼めがけて、
ブルーは足を鋼鉄の重りに変えて落下した。
「ブグェッ!!」
雷鬼は黄色い液体となり、コロシアムの床に飛び散った。
辺りには雷鬼の肉片が散らばっている。
「へっへっへ…まずは一人、だな」
「き、貴様!よくも雷鬼を!」
雷鬼を殺された氷鬼は激怒し、ブルーに向かって回転しながら体当たりしてきた。
「待て、氷鬼!」
炎鬼の警告を無視し、氷鬼はそのままブルーに激突しようとする。
「うおおおおおおお!」
ブルーの体に氷鬼が激突しそうになったその時、
氷鬼の動きが止まった。
ブルーは左腕を鎖に変えて氷鬼を絡めとっていたのだ。
「クックック…。これで二人目…」
「や、やめるっス!俺はまだ死にたくないっス~!」
「そうか。なら望み通りにしてやるとするか…クックック」
ブルーは右腕を剣に変え、氷鬼の首を切り落とした。
氷鬼の青い体液が辺りに飛び散り、
リングには氷鬼の首が転がった。
「お~っと!氷鬼選手の首が!飛びましたッ!」
「クックック…。後は炎鬼、お前だけだ」
「ひ、ひぃっ!殺さないで!殺さないでくださいっ!お願いだから殺さないでぇっ!」
仲間の二人を殺され、炎鬼はすっかり怯えていた。
「お前だけ殺すわけにはいかないぜ。差別はよくないって言うジャン?クックックック」
「いやだ…いやだ…まだしにたくない…まだころされたくないぃぃ!」
恐怖に怯える炎鬼めがけて、
ブルーは縛っておいたセンベイを投げ付け威嚇攻撃を行った。
「ぎゃぁぁぁ!ちゃおが!ちゃおがとんできたよ!こわいよぉぉ!」
かつて最強のチャオの一人と呼ばれていた炎鬼は、
今ではチャオが飛んできただけでも怖がってしまうようになっていた。
「怖いか…?そんなに怖いなら、今すぐ怖くなくしてやるぜ」
「おねがいだからこわくなくして!こわくなくして!こわいのいや!こわいのいやだよぉ!」
「そうか……。ならば今すぐ殺してやる!」
ブルーは足をタイヤに、両腕を巨大なローラーに変形させ、
腕のローラーでリングを強く叩き付けた。
「おっと、ブルー選手が変身したァッ!こんな姿は見たことがありません!」
「これが俺の最強の形態の一つ……死ぬ前にとくと目に焼き付けておくんだな」
そう言うと、ブルーは炎鬼めがけて走り出した。
「いや!いや!こわい!たすけて!たすけて!」
必死に助けを求める炎鬼。
だが、炎鬼を助けてくれるような仲間はもういなかった。
ブルーはだんだんと炎鬼に近づいてくる。
「しにたくないよ!しにたくないよ!しにたくな…」
炎鬼が「死にたくない」と言おうとしたその瞬間、
ブルーのローラーが炎鬼を押し潰していた。
炎鬼の体は潰れ、赤い体液と肉隗があたりに散らばった。
さらに、ローラーは体液で真っ赤に染まっている。
「クックック…。これで三人、鬼退治は完了だな」
「これは凄い!東の極悪チャオ、ブルー選手の大勝利です!」
試合終了のゴングが鳴り響き、ブルーの『鬼退治』は終わりを告げた。