その9
<その9>
≪12/23(土)≫
いよいよ今日はチャオ聖誕祭だ。・・・ま、こっちに来てしまった以上、無意味だけどな。
今日も昨日と同じように、デパートの上層階で暇を潰す。
【アンナ】「でも、信じられません・・・ステーションスクエアが水浸しになるなんて・・・」
【俺】「だよな・・・高い所にいれば、たぶん大丈夫だと思うけど。」
そんなことを話していた、午後1時20分。
突然、轟音と叫び声が響いた。
【俺】「・・・来やがった!」
よりにもよって12月23日に!薄々そんなこったろうとは思ってたが!元々ソニアド1の発売日だし!
慌てて窓から外を見ると、みるみるうちに道路が水に覆われ、なお水位が上がっていく。
【アンナ】「そ・・・そんな・・・!!」
愕然とするアンナ。自分が生まれ育った街が壊れていく様子は、誰だって見たくないもんだ。
すると突然、隣のトイレから、水が溢れて流れてきた。こんな上層階までも!?
【霜月】「みんな、何かに掴まって!」
慌てて手すりや柱に掴まり、耐える俺達。幸い、溢れてきた水は数cm程度で、流される程じゃなかったので助かったが。
【俺】「ふぅ・・・収まったかな・・・?」
と思った次の瞬間、また轟音が響いて、なんとビルが傾きやがった。
【俺】「うわあぁぁぁっ!!」
思わず転倒し、傾いた方へと転がる俺。次の瞬間、意識が飛んだ。
・・・気絶すること数分。俺が気がついたのは、壁際だった。まぁ、転がったらそうなるか。
天井から水滴が落ちてくる。冷てぇ。とりあえず、死んじゃいないみたいだ。
【霜月】「大丈夫みたいね・・・」
【アンナ】「ケガはありませんか?」
擦り傷なら無数にあるっぽいが、重傷じゃ無さそうだ。俺は何とか立ち上がった。
【俺】「・・・外はどうなってる?」
【月島】「まだソニックコールは起きてません。ソニックが見えないのでどうなってるかは分かりませんが・・・」
【霜月】「あたしとアンナは屋上へ行くわ。これから何が起こるか知りたいからね。」
【俺】「あ、俺達も行きます。」
とにかく、最大のピンチは軽傷で乗り切った。俺達は様子を見るため屋上に上がる。
既にそこにはたくさんの人がいた。
【アンナ】「・・・あれ、何ですか?」
と、アンナが空を指して聞く。それは、パーフェクトカオスとは別の方向。
一体何があるってんだ?と思い、アンナが指した方向を見ると・・・やべぇ!コイツの存在すっかり忘れてた!
【俺・月島】「・・・エッグキャリア二号機!!」
【霜月】「それって・・・」
【月島】「エッグマンの飛行要塞です。ただ・・・」
【アンナ】「ただ?」
【俺】「まぁ、とりあえず見てて下さい。」
そう、エッグキャリア二号機はパーフェクトカオスに瞬殺されて撃墜する。その進行方向からして・・・って、ちょっと待て!!
・・・ここら辺に墜ちてくるじゃねぇか!エッグマンの馬鹿野郎!!
【俺】「・・・急いで逃げて下さい!ここは危険です!」
【アンナ】「え?なぜですか?」
【俺】「いいから、早く!」
月島先輩と北川部長は事情を飲み込んだらしく、隣のビルへと走りだした。幸いビルが傾いたおかげで、ジャンプすれば何とか届く距離だ。
それを追うように霜月さんとアンナさん、そして最後に俺が隣のビルへと飛び移った。
隣のビルの端まで来たところで、エッグキャリア二号機はパーフェクトカオスの攻撃を受けて撃墜した。
幸い俺たちのいたデパートに直撃はしなかったが、もしいたら爆風で危なかったなぁ。ってか、風が凄っ。
にしても、パーフェクトカオス、やべぇよ。マジで。ソニックでなくても思わずこう言うっての。
【俺】「すげぇ・・・ムチャクチャやりやがる・・・!!」
【月島】「ねぇ、あれって・・・」
【俺】「・・・!!」
月島先輩が指した方向を見ると、そこにはソニックがいた。
ちょうどここはソニック達が見える場所だったのか。ラッキー、これで物語の進行状況を確認できる。
お、仲間達が集まってきたぞ。
【市民A】「ソーニック!」
【市民B】「そーにっく!」
【月島】「来ました!ソニックコール!」
よし、ここまでくればもうすぐだ。この際だ、ついでに俺達もソニックコールしてやる!これで俺達も立派なソニアド出演者だ!
(でもネットで見た記憶があるけど、このソニックコールって、確か98年夏のイベントで実際のソニックファンの声を録音したものなんだよなぁ・・・)
・・・ソニックコールが終わった頃には、スーパーソニックが現れて、パーフェクトカオスに立ち向かっていった。本当にゲーム通りだなぁ。
そして数分後、パーフェクトカオスは倒された。めでたしめでたし。
【霜月】「・・・これからどうなるの?」
【俺】「ちょっと分からないですけど・・・とりあえず水は引くと思います。」
・・・だが、俺達のラストストーリーは終わっていなかった。悪ぃ、カッコよく言いすぎだな、これ。
とにかく、その時、俺達はとんでもないものを目にした。
【月島】「えっ!?う、嘘・・・!?」
【北川】「・・・・・!!」
【俺】「部長が、2人・・・!?」
・・・そう、小5までを日本で過ごし、それから7年をこっちの世界で過ごした、もう1人の、北川佑香。
<その10に続く>