ヒーローサイド2

突風の吹き荒れる谷。
そこに風とともに生きた一族がいた。
風に乗り、大空を駆け抜けた彼らも、今はいない。
その生活の空間だけは、時に取り残され今に残る。

その遺跡に、チャックルズは来た。マスタージュエルの破片を探しに。
「確か、ここら辺に飛んできたはずちゃお。ん?」
「チャックルズや~、お前の探しているものは、この壁の向こうにあるぞよ~。」
チャックルズの前になんと、チャオの神様が現れた。

「壁の向こうちゃおか?そんなとこ行けないちゃお。どしよちゃお。」
困り果てるチャックルズ。だが、チャオの神様には妙案があった。
「そこでじゃ、お前にナックルズの様な痛そうなツメをさずけよう!これがあれば、この」
「いやちゃお!」
チャックルズは即座に拒絶する。
「ナックルズの様な痛そうなツメでお尻をかくと、ツメが刺さって大出血するちゃお!」
チャックルズは、それで泣いてるチャオを見た事があった。
「そうか、それは困ったのう。」
自分の台詞を中断されて、ちょっちムッとするチャオの神様であるが、すぐに解決策を思いつく。
「そうじゃ、ツメを好きな時に引っ込められるようにしよう。これなら、やわらかいおててで、お尻をかけるぞよ。」
「はう、それはすごいちゃお!チャオの神様、ほれぼれするほど頭いいちゃお!」

チャオの神様に引っ込めることも出来る痛そうなツメをもらい、さっそく壁を掘るチャックルズ。
「あれ?あれれちゃお?」
だが、壁は掘れなかった。
チャックルズは、ある事に気が付く。壁や地面を掘るには、パワーアップアイテムが必要なのだ。痛そうなツメだけでは、駄目だった。
「チャオの神様も案外、抜けてるちゃおね~。さあ、どするちゃお?」

「むむむむ…。」
悩むチャオの神様。やばい、なんとかしなければ、チャオの神様としての面目が立たない。
「そうじゃ、スコップをゲットするのじゃ。」
そう、掘る道具があればいい。なにも素手で掘る必然性はない。
「チャオレースに出るのじゃ。かにかに池のレースで優勝すれば、賞品としてもらえるぞい。」

こうして、チャックルズはかにかに池のレースにエントリーした。
しかし、周りを見てみれば、みんな子供のチャオ達である。
その中にチャックルズが混じっている。
「わ~、大人が混じってるちゃお~。」
「なんでジュエルレースにでないちゃお?」
好奇の目にさらされるチャックルズ。
「はははは、なんで俺、こんな所にいるちゃおか?」
チャックルズは、いい年こいて週チャオに小説もどきを書いてる誰かさんの様な気持ちになった。
だけど、今はこのレースに勝ち、スコップをゲットすることが大切。
ちびっこ達には悪いが、全てのマスタージュエルの破片を集めるには、一時の恥じらいも、耐えなければならない。それがジュエルの番人、チャックルズの運命。
そう自分に言い聞かせてるうちに、レースはスタートする。

全チャオ一斉に飛び込む中、チャックルズだけはゆうゆうと滑空する。
そのまま他のチャオ達をおおきく引き離し、ゴールに近づく。滑空で。
「コラー、駄目チャオ~。」

そこへ、チャオレースの係員であるオモチャオが飛んできた。
「ココハ、泳ギノ力ヲ競ウこーすチャオ。泳ガナイト駄目チャオ。失格ニスルチャオ。」
「な、そんなのありちゃおか?」
その時、すでにチャックルズは着地していた。一度も水につかることのなかったチャックルズは、失格である。
がっくし落ち込むチャックルズ。するとそこへ、子供達の悲鳴。
見るとなんと、池の横に居た蟹達が、子供達を襲い始めていた。
「ワ~、シマッタチャオ~。」
慌てふためくオモチャオ。
「アイツラ、ちゃおノ子供ガ大好物チャオ。」
「な、なんだってちゃお~。」
これにはチャックルズもびっくらこいた。

チャオの子供と同じ味がするというチャオの実。
それを食べることで我慢しろと、チャオの神様に言われた蟹達だったが、そのチャオの実が無くなったのと、制止するオモチャオが離れたので、チャオの子供達を襲いだしたのである。

「こうしてはいられないちゃお!」
チャックルズは、ジャンプしてそのまま滑空。
子供を襲う蟹の上空から、回転しながら急降下するチャックルズ。左手から、痛そうなツメをだして。
「くらえちゃお、スクリュードライバー!」
ガキィィ~~ン!!

しかし、硬い甲羅に弾き返される。
「こ、こいつ、強いちゃお!」
チャックルズは子供達が安全に非難できるよう、蟹の攻撃から子供達を守る。

容赦のない攻撃に、チャックルズは苦戦する。
「くっ、なぜちゃお?なぜお前はチャオの子供を食べるんちゃお!」
チャックルズの問いに、蟹が答える。
「なぜかって?あはははは。チャオの子供は、わんさか増える。いっぱいいすぎて困るブリーダーもいる。そんなチャオを食べて何が悪い。」
な、なんという勝手な理由!
思わず気が遠くなるチャックルズだが、あることに気が付いた。
蟹達の大きさが違う。
一匹だけ大きい。

チャックルズはそっと、オモチャオにたずね

このページについて
掲載号
週刊チャオ新春記念特別号
ページ番号
6 / 59
この作品について
タイトル
チャニックアドベンチャー2
作者
あさぼらけ
初回掲載
週刊チャオ第94号
最終掲載
週刊チャオ第118号
連載期間
約5ヵ月18日