ヒーローサイド2プロローグ
不毛な感覚を拭いきれない、延々と広がる砂漠の海。
ここで、二人のチャオが対峙していた。
一人は、バーン・チャッコ−。
通称チャックルズ。エンジェル島のチャオ神殿の番人にして、世界一のトレジャーハンター(自称)。
もう一人は、ルーチャ・ザゴールデンバット。
そして、その向かい合う二人のチャオの真ん中にあるのは、マスタージュエルである。
元々、エンジェル島のチャオ神殿にあったこのジュエル。
それをルーチャがチャオ神殿から盗み出し、ここで追いつかれた次第である。
「このジュエルはなあ、普通のジュエルじゃないちゃお。いいちゃおか?」
チャックルズは、マスタージュエルについて、説明する。
マスタージュエル。
それは、全チャオの生体エネルギーの源。
一人一人のチャオのアレに宿らす力の源。
不死の力を授かったカオス系チャオのアレの暴走を止める働きがあり、そして、マレにしか産まれない、ジュエル系チャオや、ツヤ系チャオの誕生にも係わる神秘のジュエル。
そんなチャックルズの説明の最中、マスタージュエルは空に吊り上げられる。
「チャオ粒子エネルギー反応があるから来てみたら、これはマスタージュエルちゃお。」
上空を見上げるチャックルズとルーチャ。
「お前は、ドクターチャッグマン!」
「あれが、ドクターチャッグマン?」
ルーチャは、何かを確かめるように、つぶやく。
監獄島からの帰り道のチャッグマン。
彼は、カオス系チャオのアレだと思ったのだが、これはマスタージュエル。
まあ、何かの足しにはなるだろうと、その場から持ち去る。
「あ~、泥棒~!」
ルーチャが叫ぶ。
「そりゃ、お前のことちゃお。」
思わずそう言ってしまうチャックルズだが、今はそれどころではない。
マスタージュエルが持ち去られようとする今、ジュエルの番人チャックルズのやるべき行動は、一つだった。
「え~い、ままよ!」
ジャンプ一閃、チャックルズはマスタージュエルを叩き割る。
「ああぁあああ~~?」
「ぬお?」
悲鳴をあげるルーチャ。
破壊の衝撃で、チャッグウオーカーが激しく揺れる。
だがチャッグマンにとって、ジュエルはあんまり必要無かったので、彼は秘密基地に帰って行った。
ルーチャは、着地したチャックルズをひっ捕まえる。
「ちょっとあんた!あたしの宝石に、なんてことするちゃお!」
ルーチャの腕を振り解くチャックルズ。
「ジュエルの破片を集めれば、また元に戻るちゃお!あのままあいつに持って行かれるよりましちゃお。」
半信半疑のルーチャだが、今はそれを信じるしかない。
「いいちゃお?世界中の宝石は、み~んなあたしのものちゃお。ひとっカケラもあんたなんかには渡さないちゃお。」
そう言ってルーチャは飛び散ったカケラを集めに駆け出した。
チャックルズも、マスタージュエルの番人として、その場を後にした。