ぼけりんのばあい
「ねえねえ、今度の六月二十三日、ソニックの誕生日なんだってちゃお。」
ここは、とあるチャオガーデン。
チャオ達が仲良く雑談しています。
「ふ~ん。」
1人のチャオの発言に対し、他のチャオ達はあまり乗り気ではありません。
「あれ、みんなどしたちゃお?」
「誕生日って、寿命へのカウントダウンちゃお?」
1人のチャオが答えます。
「ボク達は、十時間くらいしか生きられないちゃお。
年齢に換算すると、三歳くらいで逝っちゃうちゃお。」
他のチャオ達も、うなずきます。
「でも、」
最初に言い出したチャオは、反論します。
「ソニックはこれから、100年も、200年も、生き続けるちゃお。
ボク達チャオも、転生を繰り返せば、ソニックと同じくらい生きられるちゃお!」
「おお!」
他のチャオ達は、感嘆の声をあげます。
「すごいちゃお。」
「ソニックえらいちゃお。」
「なんかめでたいちゃお。」
「そうだ、めでたいから何か、プレゼントするちゃお!」
「なにがいいちゃお?」
チャオ達は、考え込みます。
三十秒くらい悩みこんだチャオ達は、自分達で何か演奏してソニックに聞かせてあげることにしました。
「でも、なにを弾くちゃお?」
「やっぱ、ソニックアドベンチャー2のゲームミュージックがいいちゃお。」
「いいねえ。で、どれ弾くちゃお?」
………。
「あれ?なにも思い浮かばないちゃお。なんか、影薄いちゃお。」
「あはははは。」
ソニックアドベンチャー2のゲームミュージックを思い出せないチャオ達は、大笑いします。
「じゃあ、みんなで聞いてみるちゃお。」
1人のチャオがどこぞから、ドリームキャストを取り出します。
そして、ガーデンのテレビに接続します。
「あれ?これどこから持って来たちゃお?」
他のチャオが質問します。
「ぼけりんちの押入れの中ちゃお。」
「え~?」
その発言にびっくらこくチャオ達。
「駄目ちゃお~、いくらぼけりんの足がくちゃいからって、それじゃあ泥棒ちゃお~。」
「でも、お口がくちゃいぼけりんは、ドリームキャスト二機持ってるちゃお。一機くらいいいちゃお。」
すかさず反論するチャオ。でも、ライトカオスなチャオが諭します。
「ぼけりんが毎日お風呂に入れないのは、関係無いちゃお。
それに、沢山あるから、一個くらいいいだろうってのも、泥棒は泥棒ちゃお。」
「ごめんなちゃ~い。」
チャオは、素直にあやまります。
でも、とりあえずドリームキャストをセットし、聞いてみることにします。
丸いボールが弾み、渦巻きを描きます。
そして、ぷらぷらとビジュアルメモリーがゆれています。
そう、肝心のソフトが入ってませんでした。
チャオ達は、ぼけりんに貸してもらうことにしました。ドリームキャストを勝手に持ち出した事もついでにあやまって。
ぼけりんは、ゲームボーイをやってます。ソニックピンボールで、せこせことリングを稼いでいる最中です。
「お~い、ぼけり~ん。」
しかし、ぼけりんは気が付きません。
無理もありません。
チャオは、水洗便所の様に綺麗な心の持ち主でなくては、直接見ることが出来ません。
ドブ川の様なぼけりんの心では、モニターを通してじゃないと、チャオなんてとても見ることはできないのです。
仕方なくチャオ達は、ドリームキャスト本体から、ソニックアドベンチャー2のCDロムを取り出します。
ガーデンに戻ったチャオ達は、早速セットします。
回天すろ銀河の星々。
青と黒の混ざり合った円盤が飛んできて、そこに隕石が集まってきます。
シャキシャキシャキ~~ン。
そこに、ソニックアドベンチャー2のタイトルロゴが浮かび上がります。
「おお、かっこいいちゃお~。」
チャオ達は感動します。
ふと、画面が切り替わります。
ソニックが板切れで、急な坂道を滑り降ります。
チャオ達は、車とすれ違うソニックにヒヤヒヤしながら、トリックプレイを決めるソニックにワクワクしながら、見入ってます。
画面は再び、回天する星々に切り替わります。
「今の曲がいいちゃお!」
「きっとソニックも、大喜びちゃお!」
チャオ達は早速猛練習を始めます。
ちなみに、各楽器のパートは、以下の通り。
ベル :ブルー(ヒーローハシリ)
タンバリン :ユニコ(ヒーローオヨギ)
シンバル :Nスター(ライトカオス)
カスタネット:フェニッ(ダークオヨギ)
マラカス :アニマルハート(ニュートラチカラ)
以上の五名です。
そして、いよいよソニックの誕生日を向かえます。
誰かがチャオキーを使い、チャオワールドの扉が開きます。
「あ、来たちゃお。」
チャオ達は、合奏の準備をします。
「ソニック、誕生日おめでとうちゃお!」