第二百十八話
【クレイスタワー十三階(最上階)】
ここは、他の階に比べてスペースが小さかった。
壁は前面ガラス張りの窓で、中央には円柱の形をした建物が建っており、その周りには白い机と椅子が散らばりながら、何組も置いてあった。
それらはすべて埃を被っており、長い間放置されていたということを物語っていた。
建物の上には文字の書かれた板があり、それの隅を飾る明かりの消えかかった電灯が、バチバチと音を立てて火花を散らしていた。
だが、そこには一つの人(チャオ)影があった。
そのチャオは入り口から一番遠い窓際の席に座っていた。
座っているチャオの頭からは細長いものが二本生えており、背中は何か光沢のある黒いもので覆われていた。
???「やっほー!!」
下の階から誰かが現れ、大きな声でそう叫んだ。
その声はうるさいほど響き、座っているチャオは小さくため息をつく。
上ってきたチャオは・・・シュイだ。
シュイ「見てみてこの体!中々イケてない?」
子供のようにはしゃぐシュイを見て、ようやくそのチャオは立ち上がり、シュイに近づく。
???「ほぉ、中々じゃねぇか。」
立ち上がったチャオは顔を近づけてマジマジと見つめてからそう言った。
シュイ「でしょでしょ♪それにね、この体GETしたときにこいつの身内っぽい奴が近くに居たんだけどね、僕が取り付いてからの豹変振りにめっちゃ驚いててさ~!すっごく面白かったw」
満面の笑みでそう言うシュイ。
???「相変わらず鬼畜な性格してやがんな、テメェは。」
シュイ「あはは~♪それはキブリンも同じでしょ~w」
キブリンと呼ばれたチャオは、その後すぐに顔をしかめて、
キブリ「その呼び方やめろっつーの!俺はキブリだ!!!・・・って・・・一体何度目だよこの台詞はよぉ・・・」
シュイ「少なくとも三十回以上は聞いた覚えがあるねw」
笑いながらそういうシュイに対し、キブリは、
キブリ「いい加減覚えやがれ、このバカ!!」
と、とても大きな声で言い放ったのに対し、シュイは、
シュイ「まぁまぁ、これぐらいのテンションのが近くにいるぐらいでキブリンは最高に自分の性格を発揮できるんだからさ。」
と、笑いながら対応する。
キブリ「大体テメェは!・・・・おい。」
途中で言いかけた言葉をとめてキブリが呼びかける。
そのとき、彼の頭の触覚が細かく揺れていた。
キブリ「・・・誰か来るぞ。どういうことだ。」
シュイ「あ~それね、ちょっとそのからかった奴があまりにしつこくてね。仲間を呼んでここに攻め込んできたんだよ。」
キブリ「バカ野郎!・・・言うまでもないけどな・・・」
そこで一旦言葉に詰まるが、すぐに次の言葉を言う。
キブリ「面倒なことしやがって・・・んじゃお前・・・例の装置は・・・」
シュイ「まだ取り付けてないよ~」
キブリ「・・・だろうな・・」
キブリが手をおでこに当てて嘆かわしそうにうつむく。
キブリ「・・何人来てる?」
シュイ「全部で十八人。でも多分今近づいてるのは一人だよ。増援が来たとしても四人。それ以外はみんな下の階で泥人形に遊んでもらってるからねw」
キブリ「五人か・・・余裕だな。」
その言葉を発したときのキブリの口は、とても嬉しそうににんまりとしていた。