第二百九話
【発想】
【クレイスタワー三階】
泥人形「ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!」
泥人形たちが、次々と階段を上ってくる。
それをルゥがストーンで撃退していた。
ルゥ「数が多すぎる・・・一体こいつら何体いるんだ?」
メタル「もしかして、どこかにこいつらを生み出してる装置か何かあるのかな?」
ライド「いや、それだったら長い間閉鎖してあったここの中には泥人形でいっぱいのはずだ。」
ルゥ「でも、生産するペースも関係あると思うんだけど・・・」
ライド「つーか、今はそれどころじゃねぇだろ。」
ライドが、後ろにチラッと目を配る。
そこには先ほどから何かに恐怖を抱き、黙ったままのフォルが居た。
二人「・・・」
ライド「フォル、お前は一体何を見たんだ?」
フォル「・・・・・」
すると、突然ライドは、フォルの胸ぐらを掴み、上に持ち上げた。
その顔からは、怒りが感じられた。
ライド「テメェ!!さっきまでの威勢はどうしたんだよ!!黙りこくってちゃわかんねぇだろ!!こうしてる間にも、奴らは俺たちに近づいてきてんだぞ!?ルゥの体力だっていくら下級魔法だからって長くは持たねぇんだ!!奴らから逃げる手段を無駄に消費してるようなもんなんだぞ!!」
フォル「ライド・・・」
ライド「テメェはなんもわかっちゃいねぇ!!テメェが何見たかは知らねぇがなぁ!!そのテメェが見たもんが奴らを倒すヒントになるかもしんねぇんだぞ!?」
フォル「・・・チャオだ・・・」
フォルが小さく呟いた。
フォル「しわしわに干からびて、縮んだチャオが中に入ってたんだ。しかも・・・まだ生きてる。」
メタル「チャオが!!?」
ルゥ「しかも・・・」
ライド「干からびてんのに・・・生きてるだと?」
フォル「ああ、小さくて、とても苦しそうな声で、助けてって、俺に言ったんだ。」
ライド「・・・・・」
ライドも、それを聞いて、なんて言えばいいかわからなかった。
フォル「奴らを・・どうにか助ける方法は・・・」
全員が黙り、泥人形のうめき声だけが四人の耳に聞こえた。
メタル「・・・なら・・・」
三人がメタルに目を向ける。
メタル「水を与えたら・・どうなるのかな?」
その発想は、簡単に思いつくものだった。
だが、三人とも、それだけで助かるとは思っていなかった。
でも、メタルだけは、それを口に出した。
わずかながら、可能性があると踏んだのだ。
メタル「僕は、奴らがチャオを取り込み、水分を吸い取ってるんだと思う、だから奴らは『泥』なんだよ。」
それを聞き、三人はうなずいた。
メタル「だから、奴らから・・・」
―水分を奪えば・・・いいんじゃないかな?