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俺の名前は左藤利夫だ。
シュガー&ソルト・・・つまり、砂糖と塩と読み方が重なる。
それで俺は昔からよく馬鹿にされた。
・・・んで、砂糖と言えば此処もう一人にいるっけな。
―おい!調味料!じろじろ見るんじゃないよ!
何か口の悪い物体が俺に文句を付ける。
正直むかつくが、こいつこそもう一人の砂糖だ。
え?何が砂糖かって?見れば分かるんだけど・・・。
・・・って、顔見えないんだよね。
まぁ、一言で言えば、顔だ。
まさしくシュガーフェイス、そういうこと。
体もまさしく赤ん坊だ。と言うより、見た目が赤ん坊だ。
母性本能を奥底までくすぐる奴なんだが・・・。
―こっち見るな調味料。相変わらず間抜けな顔しやがって。
何故だか、赤ん坊特有の一語文を話さず、
普通の大人の口調で・・・しかも、口がかなり悪い。
さっきの名前のコンプレックスを揚げ足にとって、
俺のことを調味料とよびやがる・・・畜生。
いや、でもこれだけならまだ俺は楽なんだが、
此処『グランドスラム』にはもう二人ほど色物がいる。
あ、そうそう、此処のことを何も話していなかったな。
実は俺たちはある運命的な出会いである仕事をしている。
その名は、先取り解決業。
つまり、警察よりも裏の奴と手を組んで、先に解決するついでに、
報酬をごっそりもらう職業だ。
裏の組織が色々と銃をくれるので手ぶらではないだけ安全だ。
だが、結構難しい問題では危険に陥ることもあるが、
それはその時で何とか生き抜いてきた。
あの赤ん坊曰く「やるだけやって後は野となれ山となれ」らしい。
ついでにあいつのコードネームは「タフべぃびい」だ。
え、タフがついているのは何故かって?
あの赤ん坊はつまり、運動神経が恐ろしく良い。
あいつと握力勝負したら、体は丸っこいはずなのに、
握力75kgある俺がいとも簡単に敗れ去った。
一応言っておくが俺は運動神経も悪くないし、頭も良いし
性格もちょっとひねくれている。
だが、そんなモノを易々と通り越す奴らが、
俺の周りに3人いるのだ。
―さっきから何を呟いてるのよぉ。ねぇ、利夫ぉん。
・・・
・・・・
・・・・・
出た。やばい、少し逃げさせてもらおう。
~暫くお待ち下さい~
―やだぁ、逃げるなんて卑怯よぉ!
―うるさい!俺の第六感が危険信号をだしているんだぁっ!
―何よぉ!朝のキスぐらい良いじゃないのよぉ~。
―俺は男とキスする遺伝子は受け継いでいないっ!
―良いじゃない、ボーイミーツボーイってよく言うでしょ?
―それ言うならボーイミーツガールだぁっ!
朝の定番になってきてしまっていることが恐い。
このおかげで俺はつっこみ能力と運動神経が鍛えられる。
よく、表世界での友人に、おまえ、足の筋肉凄いなぁ。
なんてよく言われる。
だが、どうやったらそうなるの?と聞かれても答えられない。
まさか「毎朝おかまから逃げるために全力疾走しているから。」
なんて言えるはずがない。
しかし、野外逃走劇も俺がひょいと隠れたおかげで、
何とか終わることが出来た。
ついでにあいつのコードネームは「魔性女」
だが、残念ながら女ではない。
―うえ、朝から走りすぎて気分が悪いぜ・・・。
―成る程、じゃあ、僕が解決策を突き止めてみるよ。
そして、俺が帰ってくると、銃を磨いている赤ん坊と、
流行に乗っかった服を着こなす、小学生がいる。
こいつははっきり言って天才だ。何がなんて言おうと天才だ。
コードネームは「マセガキ」だ。
だが、何故か知らないが小学生ドリルが解けない。
どうやら理論で問題をといていくため、
何故1+1と言う計算が成り立つのか?などと、
わけの分からないところから解き始める。
書くスペースが狭いと文句を言っているが、おまえが悪い。
が、解決策を見つけようとするだけ、一番マシな奴だ。
だが、少々抜けているところがある。
あと、めちゃくちゃあの赤ん坊に影響される。
―うん、調味料さんがあのおかまさんから逃げる方法は、
色々な計算や事例と照らし合わせて、算出したところ、
貴方が死ねばいいわけです!死にましょう!
そして、目をきらきらさせてマセガキは、
スイカに刺さっているナイフを指さした。
(そもそも誰がスイカにナイフを刺したんだ?)
俺ははぁ、とため息をつきながら、テレビを付けた。
すると、臨時ニュースが流れ出した。
朝の連続テレビ小説見ようと思っていたのに。
そして、内容を見た俺はビックリした。
その内容は「ライトカオス誘拐される!」だった。