第五話『同一』
さて、さっきも言ったが我が名は『チャリオット』
チャオだ。
さっきの大事件を覚えているか?
私が迷ったことを(汗
くっ、ここは異国の地、この地の事は資料で見たのみ。
しかも地図はアルトが持っているのだからとてもじゃないが、
道が分からない。
さっき私を騙してくれた悪徳商人には鉄拳を喰らわせてやったが、
今度は私が原因なので、恨みを晴らそうにも相手が居ない。
奴はもう自我を持ってしまっただろう・・・だが!まだ間に合う!
我等は奴等の進行を留まらせる、いや止める為に
人間界へ来たのだ!
速急に奴等を食い止めなければいけぬ!
だからここは一体何処なのだ!
………………………………………………………………………………
僕はアルト。
フルネームは城嶋アルト。
いやいや、自己紹介なんてしてる場合じゃない。
もう皆知っているだろうし。
―僕の分身のような―彼、ノヴァが「ANOTHER」のことを
説明してくれるそうだ。
{ノヴァ}「『ANOTHER』と言うのは病気などではない。
むしろ『ANOTHER』が居ない者の方が病気だ。
『ANOTHER』は必ず生き物には一体いる。
どちらかが絶命すると、残された方も
すぐにあの世逝きだ」
{アルト}「ちょっと待って、僕たちが聞きたいのは
『この世のものじゃない生物』だよ。
『ANOTHER』のことじゃないよ」
僕がそう言うとノヴァはうざったいかの様に早口で言った。
{ノヴァ}「『あの世の生物』が『ANOTHER』
と何の関係も無いなどと、誰が言った。
『あの世の生物』が『ANOTHER』なのだ」
え?
『ANOTHER』と『この世のものじゃない生物』が同じ!?
だからノヴァはあの話から始めたのか・・・
そしてノヴァは続きを喋り始めた。
{ノヴァ}「続ける。『あの世の生物』が
『ANOTHER』だという事は分かったな?
『ANOTHER』はあの世に住む生物だ」
なるほど・・・つまりあの世は
死んだ人が辿り着く場所ではないのかな?
{ノヴァ}「そして人間はあの世と呼んでいるが
正式な名称がある。
それが・・・『迎影界』」
『迎影界』!?
聞いたこともない・・・
{ノヴァ}「迎影界は生物の魂を迎える場所などではない。
『人間界の生物の分身が生まれる場所』だ。
そして今、迎影界は二つに分離してしまった」
二つに・・・?
すると名前も二つに分かれたのかなぁ・・・
『迎界』と『影界』とかw
{ノヴァ}「片方の名、呼ぶに醜く、また浅ましい名だ。
その名を『スピリットデストロイド』
全ての生物を殲滅することを目的とする、
別名『復讐の集合体』
人間界の言葉などを使って・・・醜い」
に、人間界の言葉が醜い!?
失礼だなぁ・・・
でもその名前が人間界の言葉なんて驚きだ。
しかし次の言葉によって、そんな驚きなど
すずめの涙の如くしぼんでしまう様な衝撃を受ける。
{ノヴァ}「そしてもう一つの名を・・・
『チャオガーデン』と言う。
こちらの別名は『希望の集合体』
全ての生物を救おうとしている者達だ。
この者等は自分の姿を変え、人間界へ舞い降りた」
え?
『チャオガーデン』!?
チャオだって!?
もしや・・・舞い降りたって言うのは・・・
{ノヴァ}「そう、舞い降りたのは『チャオ』
そして貴様の相棒・・・
単刀直入に言う。
『チャオはANOTHERと同じもの』だ」
えええ!?
第五話完
第六話へ続く