第三話『狂気』
申し遅れた、我が名はチャリオット。
チャオだ。偉そうだと?失敬な。
たまに自が出て言葉遣いが悪くなるが気にしなくても良い。
そして今私はリージェントストリートに居る。
え?何故アルトと一緒に居ないかって?
それは・・・はぐれたからだ。
早く見つけないと大変な事になる。
いや、もうなっているかも知れぬ。
とにかく見つけなければ・・・
{チャリオット}「アルト~!何処だ、アルト~!」
さっきから呼んでいるのに全然返事が無い。
それだけ離れているという事なのか・・・
早くしなければ、『奴』が復活してしまう・・・
おや?スーパー?ここに居るかも知れん。
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居ない・・・
おや?サイダー?イギリスにも売っているのか・・・
アルトに後で教えてやろう・・・
って、物見遊山してる場合ではない!
お?裏通り・・・
とりあえず見て行こう。もしかしたら・・・ってこともある事だ。
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僕はアルト。今とても信じ難いことになってる。
{ノヴァ}「・・・どうした、それで終わりか?」
{不良A}「ぐ・・・う、うるさい!」
もちろん僕は英語分からないから何を言っているのか分からない。
あれ?そういえばノヴァとかいう奴は
分かってるみたいだけど・・・何で?
僕の分身みたいなものなのに・・・
そうであってほしくは無いけど。
とにかく、今僕自身何が起こったのか分からない。
ノヴァが不良達に手をかざしたら、突然吹き飛んだんだ。
で、壁に打ち付けられて、動けなくなってるのが二人。
打ち付けられたけど、なんとか動けるのが二人。
裏通りを抜けて、道路まで吹き飛んだのが一人。
吹き飛ぶ時、音なんかたたなかった。
聞こえたのは不良達の叫び声だけ。
{怖い人}「お、お前一体・・・」
{アルト}「僕にも・・・分からない」
そしてノヴァ自身は高笑いして不良達を見下している。
{ノヴァ}「ハッハッハッハ!貴様等人間など地球を汚す害虫だ!
貴様等人間が地球を汚し始めた頃、我等が誕生した。
我等は貴様等のような害虫を駆除するためだけに
生まれたのだ!
宿主と姿が同じなのは、その宿主を狂わせる為!
人間と姿が同じなのは、油断を誘う為!
我は全ての人間を滅ぼす者也!」
{アルト}「そんなことさせない!」
{ノヴァ}「ほう・・・どうやってだ?」
{アルト}「確か・・・似たようなものが・・・
あ!ドッペルゲンガー!」
{ノヴァ}「それが・・・どうした?」
{アルト}「ドッペルゲンガーはその人の死後、現れない!
つまり居なくなるってことだ!」
{ノヴァ}「だからそれがどうし・・・そうか、
貴様・・・自殺するつもりか!?」
{アルト}「そのとーり!」
{ノヴァ}「やめるのだ・・・それだけはやめろ・・・」
僕は不良の持っていたナイフを喉に突き立てた。
僕が死ねば、全部終わる・・・
{アルト}「・・・さてと・・・バイバイ☆」
{ノヴァ}「やめろぉぉぉぉぉ!!!!」
・・・?
死んでない?
僕は死なないと、死なないといけないんだ!
{ノヴァ}「・・・うぐッ、き、貴様・・・
まさか本当にやるとは」
・・・!?
何でノヴァが怪我してるの!?
{ノヴァ}「フン・・・俺は宿主が傷つくと、代わりに傷つく。
そいつを一生苦しめるために・・・」
{アルト}「でも僕が自分を痛めつけてれば・・・」
{ノヴァ}「フフフ・・・俺が死ぬと宿主も死ぬ。
俺にいっていた衝撃全てが自分に帰ってくるからな」
え、ええ!?
じゃあ・・・
{ノヴァ}「くっ・・・これに気付かれるとは・・・不覚」
{アルト}「君が自殺すれば僕は死ぬんじゃないの?」
{ノヴァ}「馬鹿を言え。俺だって死にたくは無い」
なるほど。
つまりそこまでは狂ってはいない訳ね。
{アルト}「じゃあ、これから悪さしない?」
{ノヴァ}「俺にとっては『使命』だ。
だが死にたくは無い・・・。
しょうがない・・・そうするか」
{怖い人}「あの~・・・俺はどうすれば・・・」
あ、忘れてた。
{アルト}「とりあえず自己紹介するよ。僕は城嶋アルト」
{怖い人}「俺は黒保音 彰祐(くろほね しょうすけ)」
そのころ・・・
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{チャリオット}「え!?買い物すれば教えてくれるって
言ったじゃないか!」
{店の人}「ノーノー、ソンナ日本人シリマセンヨ~」
騙されていた・・・
第三話『狂気』完
第四話へつづく