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突然、女は黒いものを男に向けたかと思うと、
それの引き金を引いた。
サイレンサーの「スカン」という音と共に、
男は一瞬びくっと震え、そのまま目を開けたまま倒れ込む。

…死んだ。
彼女の持っていた黒い何かはサイレンサーつきの銃だったのだ。


「…あぁ、気持ち悪かった。みんな、OKだよー。」

サインが彼女から出されると、
路地裏のビルから次々と男達が出てきた。
彼の身体は彼らによって持ち上げられ、ビルに連れて行かれる。
1人の女性が彼女に近づいた。

「お疲れ、智恵理。」
「…いまは仕事中だから中谷にしてくれない?」
「いいじゃん、もう「仕事」は完了したんでしょ?」
「…まあ。」

中谷 智恵理(なかたに ちえり)は同僚の顔を見た後、
返り血が付いている自分の服を嫌そうに見た。
ちなみに、同僚の名前は川上 美夏(かわかみ みか)という。

「いつ見てもこれだけは慣れないね。血液は。」
「ふぅん、おじさんの扱いは上手いのにね。」
「そりゃ…、だってもう今回で記念すべき1000人目だし。」
「あらぁ、おめでとう!」
「…ま、一度も身体を許したことはないからね。
 …あなたと違って。」
「いいじゃん、気持ちよくなってから殺すのもさぁ。」
「ふぅ…男なんて、チープな単細胞。あまり遊ばない方が良いよ。」
「はーい、先輩。」

二人は気分を軽くした後、男達に付いていって、
そのままビルの中へと入っていった。
星空が雲にかき消された夜空。
星空がまぶしすぎる光に消された夜空。
彼女たちは、CCOで、生きている。

街でまた一つ闇が闇へと葬られていく。
もちろん、誰にも、…見えない。


『ALICE』

このページについて
掲載号
週刊チャオ第315号
ページ番号
2 / 2
この作品について
タイトル
ALICE
作者
それがし(某,緑茶オ,りょーちゃ)
初回掲載
週刊チャオ第315号