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ライトアップされた街が広がりつつあった近未来。
明るくなればなるほど、影は増え、闇が出来た。
無差別殺人、精神異常、誘拐、強盗、殺人…、
万引き、イジメ、…。
そんなものにおびえながら暮らす日々が、続いていたのだ。
20××年、政府はこれの対策として、CCOを設立。
(CCO:Critical Criminals Organization 犯罪対策機構)
その全貌は、知らされては、いない。
人々も、形だけの存在のないものだと、信じていた。
だが、…その委員会は闇の、さらに闇で働いていたのだった。
某日。
とある街の一角に1人の女性と男が歩いていた。
見た感じ、援助交際である。いや、実際そのようだった。
男は40代過ぎた、年を食ったサラリーマンであったし、
女は20代前半の童顔の小柄である。
どう考えても、恋に落ちる二人ではない。
男は財布をちらりと見て、指を3本伸ばす。
要するに援助交際で言う「3万円」だ。
しかし、女はそれを首を振り否定して、口を開く。
「…3(万円)?」
「ごめんな…稼ぎが無くて…。」
「なら、私を指名したのは、私が安っぽいと思ったから?」
「それは…。」
「…5。」「は?」「だから、5よ、5。」
女は「万円」を使わずに、指をパーにして、5と言った。
(万円を使うと、おとり警察官に捕まる可能性があるため。)
男は戸惑った目で彼女を見る。
どうやら、平社員の彼は5万はきついらしい。
40代のくせに、情けない風貌の彼は、財布も情けなかった。
しかし、彼は今度は女の胸をちらりと見る。
…男とは一瞬の快感や欲求を第一に考える。
…彼もまた、そのようだった。
「分かった。…5で良いか?」
「えぇ、…ふふ。」
「ちっ…ベッドでは俺の好きなようにやらせてくれよ。」
「えぇ、…でも私、外の方が快感なの…。」
「え…?」
「あの路地裏でヤらない?」「本気で…?」「本気。」
女は上目遣いで彼を見る。
男は普通のベッドでさえ回数が少ないのに、
野外ですることなんて一度もなかった。
胸が、高鳴る。
性的欲求が彼の下半身を思い切り圧迫した。
「ねぇ、しようよぉ…。」
「…あ、あぁ、分かった。じゃあ、行こう。」
女は男を路地裏に連れ込む。
慣れているようだ。
どうやら、他の男ともそれをしているかのように。
男は路地裏に付くと、彼女を押し倒した。
女は「待って」と言って、彼を静止した。
「な、なんだ…?」
「そんなにせかさないで。ゆっくりしようよ…。」
「あ、あぁぁ、…。」
女は男を路地裏に座らせた。
そして、一つのマスクを手わたす。
「これは…防音マスク。」
「おまえ…徹底しているな…。」
「ふふ、もうこんな事、50回目だから。」
「じゃあ、つけさせて貰うよ。」
男は防音マスクをゆっくりと取り付けた。
女はそれを黙って笑いながら見ていたが、
やがて、鞄から黒い何かを取りだした。
暗闇の路地裏なので、それが何かは誰にも見えない。
「OK、じゃあ、次は…一つ聞きたいことがあるの。
そうだったら、首で頷いてね。」
「あ、あぁ…。」
「もう…そんなにせかす目で見ないでよ。一言だけだから。
…奥さんを、殺した?」
「!!」
「殺している人じゃないと、私なんか、燃えないの。」
「…(こ、こいつ…変態だ…だが…)」
男は驚いて彼女を見る。
しかし、それ以上に性欲が勝っていたのか、
そこから逃げ出そうとはしない。
男は黙っていたが、やがて防音マスクを取り外していった。
「あぁ、俺は奥さんを殺した。」
「いつ?」
「10時、35分。」
「どこで?」
「庭で、首を絞めた後、そこに埋めた。」
「ふぅん…。」
「嘘じゃないぞ…本当だ。」
男は、女がどこかに行かないように念押ししていった。
すると、女はにっこりとほほえんで彼を見る。
むしろ不気味な笑顔だったが、彼はそれを見てほっとする。
しかし、次の一言で、彼は凍り付いた。
「うん、本当だよ。だってあなたの家の庭から発見されたから。」
「えぇ、あぁ…。…はぁ!?嘘だ!?警察来ていないのに!」
「私たちがもう見つけたから。あなたの家の庭から。」
「お前…何物だ!?」
「もう、それよりも、エッチしようよぉ…。
あなたが殺したんだって、分かったからぁ…。
防音マスクつけてさぁ…。」
彼は凍り付いた身体がまた熱くなるのを感じた。
性欲が戻っているのだ。
童顔で小柄な女が今、野外で、自分を、誘っている…!
彼は防音マスクを自分の口に取り付ける。
そして、彼は女の誘うまま彼女に触れようとする…。
彼女は笑って、口を開いた。
「というわけで、…死んで♪」