-買い物途中だ、怪物-
栃野 柴惠羅。先読み鋭い「超」遂行女傑。特技は“イジメ”
栃野 冴美。学校一、いや、世界一“浴衣の似合う美人”の可愛い女子。物忘れが酷いらしい。
霧々 信喜。クラス一の目立ちたがり屋。俺の幼馴染。特技は“特になし”。いや、それが特技。
ビギン=スタート。この状況で寝ていられる特別なチャオ。俺のパートナー。
・・・月見里 焉。今、この状況を大変困っている少年。現、漆黒仮面業を営む。苦手なものは“女子”
そうだよ・・・今この状況が最悪なのさ・・・柴惠羅姐さん!
Night of M-A-S-K Sean,7 「しょっぴんぐ・ざ・ばとる・うぃず・つきみさと」
柴惠羅 「奇遇だねー!」
全然奇遇じゃない・・・やっと分かったよ。冷蔵庫の中から全部盗ったのはお前か!!
どうやら霧々は楽しそうだ。それもその筈。柴惠羅姐さんは元々、霧々の親戚である。
おまけに、栃野と差異の無いほどの美人。(性格に問題がありすぎるけど。)
冴美 「でも、月見里君、結局出るんだね、大会。」
月見里 「一応ね・・・」
起きてくれビギ。そして俺の代わりに喋ってくれ。俺の精神状態は保てないよ。
色とりどりのタマゴが並ぶ、“チャオショップ”の前に止まる。柴惠羅姐さんが子供のようにはしゃいで、店に入っていく。
霧々 「どのタマゴが良さ気ッスかねえ?」
柴惠羅 「出来るだけつやのある奴がいいと思うわよ。綺麗だし♪」
一つ言おう。柴惠羅姐さんの助言は参考にならないから止めておいた方がいいんだよ・・・霧!
冴美 「お姉ちゃん、月見里君の色のタマゴが無いんだけど・・・」
ふと耳にするその言葉。それもそーだ、この色のタマゴがあるわけない。
とか思ってる俺の読みが甘かった。
柴惠羅 「すみません、店長。“Pure”のタマゴを一つ、下さい。」
店長と呼ばれた男 「ああ。あれは・・・ちと出せなくてね。すまんね、嬢ちゃ・・・ん?」
何をしたのか分かったよ、柴惠羅姐さん。免許持ってるからって一般人に魔術をかけるな!!
しかも店の中から勝手にタマゴを盗るな!
柴惠羅 「はい、冴美。これでいいの?」
冴美 「え?あ、ありがと!どこにあったの?」
見てなかったのか・・・まあ、その方がいいけど。白地に、水玉模様のタマゴ。そうか・・・ビギもこの中に入っていたのか。
霧々 「やっぱり赤ですかねえ・・・すいません!これくださ・・・あれ?」
店長 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
店長は倒れている。柴惠羅は3200の経験値を得た!10000Gを獲た!
→返事がない。ただの屍のようだ。
あなたはどうする?
A「警察に通報」
B「黙認」
C「逃走」
D「とりあえず119」
→E「見なかったことにする」(やっぱり隠しコマンド)
一般で売っている、「SVCM」は、オレンジ。でも、柴惠羅姐さんのことだ。霧はともかく、栃野には白いやつを渡すに決まってる!
ビギ 「焉!」
小声で、ビギが俺に話しかけてきた。いつの間に起きたんだ・・・?
今は、柴惠羅姐さんが栃野と霧々と一緒に、「SVCM」を見ている。やっぱり栃野には白いのを渡した。
ビギ 「妖獣の気配チャオ!」
月見里 「今日ばかりは本当に助かるぜ・・・でも、どこに行くか・・・やっぱ更衣室?」
柴惠羅姐さんと目をかわして、こっそりと脱け出し、服売り場に行くと、更衣室に入る。
ビギが変身服を転送すると、すぐさま俺はそれをはおって、仮面をつけた。
東洋風の大きな剣を背に負うと、ビギの座軸転移で、妖獣の場所へと移動する。
って・・・店の中?
柴惠羅 「きゃあ!化け物ー!」
演技が上手いな、柴惠羅姐さん。妖獣を前にして、かなり怖がった様子を見せている。
今回の敵は・・・なんだありゃ・・・まじかよ・・・ドラゴン?
ドラゴンっぽい奴 「よこせ・・・よこせぇぇ!!」
月見里 (漆黒仮面) 「っぶねー・・・セーフ。」
剣を鋭く抜いて、俺はドラゴン(っぽい奴)の爪を防ぐ。柴惠羅姐さんに貸しが出来たな・・・フッフッフ。
漆 黒 仮 面 登場おー!
漆黒仮面の姿をしたビギが、両手に桃色に透けた水を浮かべて、パチンッと鳴らした。
ビギ 「赤き絶句―萌えよ律詩!天等烈火!」
天に等しい烈火。桃色が次第に真紅へと変わっていくさまは見事だ。
その一撃で、ドラゴンはこっちを敵視してくれたみたいだ。ラッキー!
冴美 「お姉ちゃん!大丈夫!?」
柴惠羅 「うん。何とか・・・信喜は?」
霧々 「平気ッスよ。」
ここで、約二名は重大なことに気付く。柴惠羅を除いた二名のことである。
冴美 「月見里君がいない・・・」
霧々 「そういえば。」
どう言い訳したらいいものか・・・柴惠羅は少し迷った後、一言だけ、貫く。
柴惠羅 「探してくる!」
キンッ!・・・爪と刃のぶつかりあい。さすがはドラゴン。伝説の生物なだけはある。
力に押されながらも、ビギの魔術で確実にダメージは与えているはずだ。もう少し―