第八話

何!?と思っているのも束の間、
不意にサクラの体が吹っ飛ばされ、近くの岩にたたきつけられた。

   ファンタジア・チャオ・ファイティング 第8話 朝の休息 

サクラ「く・・・。」

サクラが痛々しいうめき声をあげる。
かなりのダメージだが、かろうじて、気絶はしていないようだ。

???「所詮貴様はここまでだ。」

何処からかあいつの声が聞こえる。
その様子は、余裕といった感じだ。

サクラ「まだよ・・・。」

サクラが、傷む身体を起こしながら枯れた声で言う。
しかし、もう戦える気力は無いだろう。
ただの木偶の棒(でくのぼう)と言ってもいいくらいだ。

???「おれの名前は【ディロフォ】・・・またいずれ・・・。」
サクラ「く・・・待ちなさい・・・。」

ディロフォはその場から去った。
何とか一命を取り留めたサクラだったが、もう立ってるのも限界だろう。
朦朧(もうろう)とした意識の中、ただその場に座っていた。

・・・・・
サクラが我に帰った頃にはもう空が白んでいた。
もう傷も治っている。あれは夢だったのだろうか?

・・・いや違うこの体が痛みを覚えている。

サクラは立ち上がると、仲間達の元へと駆けていった。

サクラ「おはよう!!」
ヒツジ「うん・・・?」

ヒツジがやっとおき始める。

チョコ「サクラさん何処行ってたんですかー?」

既に朝ごはんの支度をしていたチョコが明るい声で現れる。

サクラ「うんちょっとね・・・。」

曖昧(あいまい)な返事で答える。
事実をいうと、チョコがかなり動揺するだからだろう。

チョコ「そうですか。朝ごはん出来ましたけど要ります?」
サクラ「あ、じゃもらおっかな!」

このサバイバルの中、ここだけ和やかな空気が流れる。
チョコは、ムードメーカーなのだろう。

サクラ「ナイトは?」
チョコ「1人でまた行っちゃいましたよ。」

全く。あんな危険な目に会ったのに何でまた1人になるかな?

サクラ「で、これからどうする?」

サクラが、焼き魚を食べながら聞く。

チョコ「どうすると言われても、やることは1つでしょう。」

確かにそうだ。
今は、サバイバル中。戦うのみだ。

サクラ「そうね。・・・じゃ、行きましょうか!」

サクラが立ち上がる。

チョコ「ちょっと待ってください!」
サクラ「ん?」
チョコ「まだヒツジさんが起きてないんですけど・・・。」

ヒツジは、そんな会話が交わされたことも知らず、
いびきを立てて熟睡していた。

・・・続く

このページについて
掲載号
週刊チャオ第94号
ページ番号
10 / 27
この作品について
タイトル
ファンタジア・チャオ・ファイティング
作者
りんご
初回掲載
週刊チャオ第86号
最終掲載
週刊チャオ第131号
連載期間
約10ヵ月12日