part1・D 「螺旋」
DはHを連れて、公園まで来た。
どうやら誰もいないらしい。
Dは水を先ほどの白い粉に思い切り振りかけた。
白い粉は一瞬にして発火し、芝生が燃え始め、
やがて、公園全体が燃え始めた。
「ちょっと手荒い手段だが、これで引きつけたスキに逃げる。」
「家には・・・燃え移らないみたいだね。」
矢立、誰かの悲鳴が聞こえてきた。
DとHはそこから走り出した。
近所の人は生石灰を身にまとっているので、水で消せない。
かなり、パニックになっているのをよそに、
俺たちは細い路地を駆け抜けた。
翌日、近所の人たちは全員警視庁に逮捕された。
あの時メールで事件のことをすべていった。
そして、ボイスレコーダーで、
俺たちを殺そうとしたことが丸々分かり、
近所の人たちも為す術もなく、うなだれたという。
「ねぇ、D。貴方のこと少し見直したよ。」
「それは嬉しいね。ならお礼は無しで良いか?」
「は?」
Hは険しい顔をして、Dを睨む。
「いやぁ、今回公園を燃やしたから、そこの請求が来てね、
まさか、あの地区とは別に住んでいる人が地主だなんて、
全然思わなかったわけで・・・プラスマイナス0なんだよ。」
Dはにこやかな笑顔で答える。
Hは目に生石灰を入れたかのように、
めらめらと燃やして、Dを追いかけた。
どこからか、怒声と悲鳴が聞こえてきた。
終わり。