第1話−亡霊(ゴースト)?(前編)−

CHAO IN SPACE 第1話−亡霊(ゴースト)?(前編)−

マスクの装着に8分もの時間を消費したレオン。
階段を走り、地上に厳重に重なったドアを開け出て行く。
最後の扉は指紋照合システムつきで、
多少時間を使ったがほとんど一気に走り抜けた。
地上は数年の間に変わり果てていた。
左を見れば富士山が見え、右を見れば自由の女神の上半身が見える。

その景色には目をくれず、
地上にただ1つある建物に向かってレオンは走った。
その小さな姿からは想像もつかないスピ−ドで、
レオンはどんどん走って行く。
あと建物まで数十メ−トルの所まで来てレオンは止まった。
いつもと違う何かに気づいたのか?
顔はびっしょりと汗をかいている・・・・
なんだ?ん?いや、違う・・・
息切れだ。
あまりに早く走りすぎたために息切れになったようだ・・・・
ゼェ、ゼェと荒い息をしながら、ゆっくりと歩をすすめる。

なにも朝から口にしていないので、
レオンはなかなか先に進めず苦労していた。
ガウスヘの差し入れがあるが弁当はあいにく今は無く。
酒のビンが2本とビールのカンが6本あるだけで、
レオンが飲める物ではない。
前回、みんな大人のチャオになっていたとの表記があったが、
大人と成年は違い、1歳以上のチャオが大人。
2歳以上のチャオが成年となっているのだ。
ちなみにレオンは1歳半である。
建物まで後、数100メートルの時・・・・

「まてよ」
レオンと同じような年のチャオの声にレオンは振り向く。
しかし誰もいない。
と、言うよりこの場にいるはずはないのだ。
レオンのいるチャオガ−デンは
S.Sにあったのと同じ作りのガ−デン。
他にM.Rにあったのと同じ作りのガ−デン。
E.Cにあったのと同じ作りのガ−デンがある。
だが、M.R、E.Cのガ−デンには、
出口がなく、地上には出られないのだ。
じゃあ、S.Sのガーデンは?
S.Sのガーデンは出る時にみんないるのが見えた。
つまりS.Sのガ−デンで出た者はいないと言う事だ。

じゃあ、ガ−デン付属のワ−プ装置で
誰かがS.Sのガ−デンにきたのか?
それも無い。
ワ−プ装置の電源は切ってあったはずだ。
S.Sのチャオが電源を切り忘れたのか?
これならいけるかも・・・・
違う。
先ほどの指紋照合機にはS.Sのチャオの指紋しか入っていないのだ。
つまり、S.Sのチャオがいないとあそこから出られない。
誰かがS.Sのチャオを脅して開けさせたのか?
いや違う。
指紋照合機の上のテレビに今まで通った人は記録される。
あの時、オレ以外にチャオが通った記録は無かった。
外に最初からいたと言うのは?
絶対に無い。
マスクの数があわなくなるし、
未成年のチャオはオレ以外に外にいけない。
つまり、オレ以外の誰かがこの場にいるなんて・・・・
いるとしたらそれは・・・・・霊?

つづく

このページについて
掲載号
週刊チャオ第93号
ページ番号
2 / 9
この作品について
タイトル
CHAO IN SPACE
作者
玻璃潛覧
初回掲載
週刊チャオ第92号(兼、300P記念) 
最終掲載
週刊チャオ第104号
連載期間
約2ヵ月26日