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週刊チャオと呼ばれる、チャオに関係する創作活動を日々行っている集団がいる。
「週刊チャオ」とは彼らの発行する仮想週刊誌であり、今日もチャオ小説を中心とした様々な作品が掲載されている。
実は2ちゃんねるよりも長い歴史を持つ。

昨夜、その歴史にピリオドを打つことを決めた。
徐々に減っていく参加者。今や誰もが個人でウェブサイトを作れる。ニーズの低下は明白なのに。
休刊を提案すると、皆が口を塞いだ。

そもそも僕は単なる一人のコミッターだったはずなんだ。
それがいつの間にか、重要なポジションを担うようになっていた。
この週刊誌には、季節に合わせた企画がいろいろとある。
そういうのに、口を出していた。面白そうな企画であれば、進んでプッシュしていた。
良く言えば、実行力があったということなのかもしれない。
気がつくと中心的な立場に立っていて、休刊を決断しなければならないのも、なぜか自分だ。

実行力と決断力は全くの別物だと思う。
事を始めるのと、事を終わらせるのでは、全く違う。


僕は怖いんだ。一人だけで責任を負うのが。
みんなどうして自分の意見を紡ごうとしないのか、わけが分からない。
実はこの決断をする前の日に、僕の隣の席のやつが言った「善悪は結局のところ多数派によって決められる」という理屈に、ひどくイライラしていたところだった。
その時は口に出さなかったけれど、僕は自分の意見すら持てないような人間を、非常に恥ずかしいものだと思っている。
善悪のようなグローバルな話でも、週チャオのようなローカルな話でも、その「場所」を作っているのは紛れもなく自分たちであるというのに。
目の前にして逃げるのか?
このコミュニティの原則は全員参加にあるはずだろう?

だからそのイライラした感情のまま、僕は一人で半ば伝言板と化したチャットルームに書きなぐった。
脅迫にも近い形で、全員参加を訴えるような文章だ。
もちろん、こんな文章で全員が意見を述べてくれるとは思わなかったけれど、二、三人なら、乗ってくれる気がした。
すると、案の定、一人の男がその意見に口を出してきた。僕はにんまりした。
そんな脅迫まがいの事はやめろと言う。ついでに、聖誕祭で休刊の方針に賛成だとも言う。
これだ。これを狙っていたんだ。僕はますますにんまりした。
この一連の書き込みは、あなたにそれを吐かせるための罠だったのだよ!!
あなたに意見を出させ、それが休刊決断へと、僕の勇気を後押しするようにね!!

なんて、決断した後ならこういう考えに駆られるのだけど、これが真相だったかどうかは、実は自分自身にも分からない。
僕の発想は常に突飛で、解釈は後から論理的っぽくするために付け足しているのではないかと考える事がよくある。
実際のところ、その脅迫の内容……僕がそのコミュニティを離脱する事で、根本から倒壊させて終わりにするという、それも結構本気で考えていた事なのだ。もちろん、彼が発言してくれた以上、それは彼を釣るための餌だったということになってしまうのだが。
僕の思考は常に仮定と経過と結論とがごっちゃになっていて、どうしようもないぐらい混沌としている。
だから、仮定や経過から考えたのか結論から考えたのか、ニワトリとタマゴの話のように、僕にだって、分からないんだ。

一つだけ言える事実は、僕は昨夜決断したんだということ。
決断してみて分かったのは、実はみんな結構優しかったんだということ。
たくさん迷惑をかけたのに、何事もなかったかのように許してくれてありがとう。
この四年間は、本当に最後まで僕を成長させてくれた。

このページについて
掲載号
チャオ生誕10周年記念特別号
ページ番号
4 / 5
この作品について
タイトル
2メートル50センチ
作者
チャピル
初回掲載
チャオ生誕10周年記念特別号