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彼と再会するきっかけとなったのは、ほんの些細なことだったのだけど、それは一つの誕生日メールだった。
もともと、僕と彼との誕生日は非常に近い。一日しか違わない。
だから僕らは小学校のときも出席番号が隣り合わせで、それをきっかけとして仲を深めていったように思う。
でも、それだけではない。

彼とは不思議と馬が合った。
例えば、小学校六年生の時に修学旅行があったのだが、あの時の僕らの班の計画は僕と彼の二人がいなければ決してまとまらなかったと断言できる。
互いに意見を交換すればするほど、彼と僕との間では、不思議な推進力が発生する。
僕のアイディアは彼によってより具体化され、それを僕が実行して……また逆も然り、というような、正の方向へのスパイラルが、僕ら二人の間ではいつも成り立っていた。
喧嘩したこともなかったと思う。
そしてそれぐらい仲が良かったのに、まるで兄弟のような間柄だったのに、いざ再会してみると、こんなにも違和感を感じてしまう。

彼は中学高校と必死に勉学に励み、社会の上へ上へと、一歩ずつ着実に歩みを進めていったのだろう。
一方の僕は、悠々と遊びに時間を費やして、他は割とほったらかしにしていたが、まあ、なんとかなっていたという、すごくいいかげんな人生だ。
僕がまだチャオを育てていると言うと、彼はとてもビックリしたというような顔をした。
今回の再会では、彼が僕の自宅へ訪問するような形だったので、ゲーム機を引っ張りだしてきて、一緒にチャオレースなどもやってみたのだけど、全く覚えていない様子だった。
それも仕方がないかと、僕は思った。
自分とて、今までにいつどのタイミングでチャオを止めていたか分からない。そんな僕が彼を責めることは出来ない。

なぜ僕がチャオを止められなかったかと言えば、それはおそらくCHAO BBSの存在を知ってしまったからだろう。
あそこで他のチャオファンとたくさんことによって、自分も、チャオブリーダーとしての知識も格段に身につけたのだから、チャオの奥深さに触れることが出来た。
でも、彼は違う。
彼の家にはもともとPCもネット環境もなかった。
環境が彼にそうさせたのであって、もし僕が逆の立場だったら、おそらく同じ道を歩んでいたことだろう。
それは自明だ。
だからこのもやもやの正体は、そんなくだらないことではない。
何なんだ、一体。

このページについて
掲載号
チャオ生誕10周年記念特別号
ページ番号
2 / 5
この作品について
タイトル
2メートル50センチ
作者
チャピル
初回掲載
チャオ生誕10周年記念特別号