絶望の直前

「うあッ……!あああっ……!!」
「あがあああああ!!」
僕は異様な光景を見ていた。
人が次から次へとおかしくなっていく。
気絶した人もいる。
ただ彼女と目を合わせただけなのに発狂する。
ただ彼女に触れられただけなのに気絶する。
そしてその原因となった女性がゆっくりと歩いてくる。
彼女の異常性を主張するかのように目が赤く輝いている。
あるいはそう見えたのかもしれない。
だがその赤い目。
黒い長髪と黒い衣服の対比でより強調されたその目。
まさに魔女の目と言える。
そう、彼女は魔女だ。
魔女だから、魔法を使う。
いや。
魔法を使っているから、彼女は魔女だと言われるのだ。
そう、魔法を。

このページについて
掲載日
2010年7月16日
ページ番号
1 / 16
この作品について
タイトル
絶望
作者
スマッシュ
初回掲載
2010年7月16日