~第五十一話~
ソニー「実際に遊んでいたらしい。しかし、それは警察にばれた時に遊び金に使っていたと思わせるためらしい。実際にテルも一緒にダーツなんぞでそこらへんの人たちと遊んでいたらしいが・・・・・・主人は楽しそうな顔は見せなかったらしい。むしろ、悲しそうな顔をしていた。『寄付するための金を、こんな所で、使ってもいいのか?』と主人はつぶやいたそうだ。」
ソニー「そして、嘘をついて死んだ。自分で殺された。奴は・・・・・奴は、世界の平和のために、世界を平等にさせるために。ただそれを実現させようとした偉大な男だった!偉大な大泥棒だった!!犯罪を犯してまでやるすごい男だった!!」
ソニーの口調は強まっていった。
ソニー「彼はただ平和を望んでいた人だった・・・・・。でも世間ではそれは理解されない。・・・・・奴はただの犯罪者として永遠に語りつながれていく・・・・・・。」
・・・・・そして彼は永遠の汚名を被されたまま、死んでいってしまった。
テルという相棒を残して・・・・・・。
ナックー「・・・・・・・・ッ。」
ソニー「・・・・・・泣いているのかナックー?」
ナックーは答えなかった。
元々ナックーは、涙もろい奴。
人のことを、誰よりも思ういい奴だった。
ソニー「・・・・・テルは、チャオの森に輸送された。・・・・・テルはいじめられていた。主人が泥棒だということがばれたんだ。輸送された時に、ポツリと『泥棒○○が飼い主だったチャオ・・・か・・・・・。』などと警察が言ってしまったらしい。」
ソニーは、夜空に手を伸ばす。
ソニー「そして、俺が助けた。その時にこの話を聞いて、友達になってやったんだ。」
ナックーは、ソニーとシャーに顔を見せないまま、テルの所に走っていった。
テル「ん?どうしたのナックー?」
テルは耳にイヤホンをつけて、コンピュータで何かやってたらしい。話は聞いてないようだった。エリ達にも騒いでいたから話は聞こえなかったらしい。
・・・・・約一名除いては。
ナックー「テルうううううううううううううううううううううう!!」
いきなりナックーは、テルを抱きしめた。
同時にミユキも何故かテルのとこにいて、テルを抱きしめた。
テル「ちょ!二人ともなにするの!?」
ナックー「辛いことがあってもな!!俺達がいるから大丈夫だぜえええええええええ!!」
ミユキ「悲しいことも乗り越えて、一生懸命生きるんだよおおお!!」
テル「なになになになに!?なにがあったの二人とも!?」
ナックー「だから、どんなに嫌なこと言われても頑張って生きていこうぜえええええ!!」
ミユキ「テルは本当にいい子なんだからねええええ!!」
テル「誰か!!説明して!!意味が分からないよ!!」
その様子を、他のメンバー達は見つめていた。
ソニー「なぁ。」
シャー「なんだ?」
ソニー「なんで、ミユキが知っているんだ?」
シャー「これで聞いてたんじゃないか?」
シャーが指を指したほうには、白い風が不自然にミユキの方に流れているのが見えた。
『ウインド・サウンドカム』
音を自分の所に、風の所に引き寄せる技だ。
ソニー「・・・・・まぁ、いいか。楽しそうだし。」
シャー「ナックー、相変わらず涙もろいな。」
ソニー「あぁ。だがそれだけいい奴だろ?」
シャーは、少し笑いながら言う。
シャー「そうだな。」
長い夜はまだまだ続き、月光があたりを照らしていた。
・・・・・え?テルの主人の名前はなんというのかだって?
苗字は知らないが、名前だけなら知ってるぜ。シンプルすぎるけどな。
その名は・・・・・・・・・・・・・
平和
な、名前通りのいい奴だったろ?