ゆーあーべりーきゅーと!

秋が深まる頃。

あまり、人にとってはどうでも良い季節らしい。
徒然草で秋は夕焼けが良いらしいが、
みんなその時間はPCに向かって活字を打っている。

しかし、今日はアフターファイブの金曜日。
俺は久々に夕焼けを見ることができた。
そこで、ふと俺は家にいる家族のことを考えた。

あいつは料理作ってくれてるかな。居眠りしてないかな。
あいつは保育園から帰ってきたのかな。
あいつはベビーベッドであいつの手を煩わせているだろうな。

家族全員あいつと呼称しているのはいつものことだ。
でも、その分だけ想う量も同じだってことだ。

そうしているうちに、角にさしかかった。
車の量はこの時間の割には多い。
みんな、アフターファイブなのだろうか、
車の運転手はかなり高揚しているようだった。

そして、その陰に目線を映したとき、そこにうずくまる、
何か動く物体があった。
だいたい予想は付いたが、一応なんだろう?と問いかけながら、
近づいていった。

そして、そこには予想通り、子猫が2匹うずくまっていた。
秋も三寒四温なので、寒い日も近づいてきた。
このまま放っておいたら死ぬのは明白だった。

というわけで、その一時間後、
俺は居眠りをせずきちんと料理を作ってくれた「あいつ」に、
その子猫は私のものっといって奪われたのだった。
言い換えると、家で飼おうと言うことである。

一週間後。避妊の手術(子猫が増えると育てていけなくなるから)
をすませた二匹は、家でいたずらばかりしていた。
「あいつ」は自分のベビーよりも扱いづらい猫に対して、
いつもこう、ぼやいていた。

―ホント、猫の手を貸したい位だわ。

俺はそのジョークに苦笑いしながら、
保育園に行っている長男とあるゲームをした。
ソニックアドベンチャー2バトルというらしい。

俺は長男のコントローラーを奪って、あるものに熱中した。
「チャオ」という育成サブゲームである。
かわいさは猫と似ていたが、ひっかくようなことはなく、
いろんな動物になることができるというものだ。

俺は一ヶ月間くらいこれをしていた。
猫にもこんな風になってほしいなぁなんて想いながら。

ただ、俺は忙しく駆けめぐる猫を追いかけながら、
時より見せる猫の幸せそうな姿に、
チャオというゲームを考えさせることとなる。

チャオって結局、人の満足のためにできた生物なんだよな。
と。

チャオは幻想の中でしか生きられないんだな。
と。

でも、それはそれでかわいいし、猫も猫でかわいいわけだ。

俺は結論を出した。

とにかく、純粋でかわいいものは人を幸せにする・・・と。
ついでに、かわいいものを深く考えるとつまらねぇってこともだ。

そして、又明くる日にアフターファイブの金曜になった。

俺は飲みへの誘いを全て断り、家に飛んだ。
「あいつら」や、猫たち、チャオたちが待っているから。

ゆーあーべりーきゅーと!

この作品について
タイトル
ゆーあーべりーきゅーと!
作者
それがし(某,緑茶オ,りょーちゃ)
初回掲載
週刊チャオ第239号